解離



料金表を見ながら
車の鍵を抜く駐車場
深夜も真昼も別段
僕にとって変わりはしないようだ

三十分と百円
いつもの足取りで路地を行く
馴染んだ景色と僕が
馴染むほど切り離されていくんだ

ツテもアテも
失くしたままで
買い取る時間に
居場所を求めては
落ちる空に
急いて疲れて
遠ざかる誰かに怯えてる


だから憶えていて
あるはずもない思い出も
あったはずの思い出も
そう叫んだ心を
今日もまた
カレンダーが笑うんだ
からから笑うんだ


無頓着になっていく
足の疲れ 胃袋の中身
よく晴れた空も曇天も
僕にとって変わりはしないようだ

三十分と百円
いつも通りの足取りと路地
どこかの景色が君が
溶けて消えてるように思うんだ

音を立てる
銀の硬貨で
買い取る時間に
形を与えては
触れることも
出来ないことを
思い知って打ちのめされてる


だから憶えていて
あるはずもない思い出も
あったはずの思い出も
そう叫んだ心を
今日もまた
カレンダーが笑うんだ
からから笑うんだ

最後の一枚を
何度使い果たしても
あったはずの面影は
季節に揉まれながら
掠れてる
そこで確かに笑うんだ
いつだってそこで

だから憶えていて
あるはずもない思い出も
あったはずの思い出も
そう零した心を
今日もまた

車を挟む青の横
合わさった面影
景色に還った僕を
景色ごと笑ったんだ

景色ごと笑ったんだ いま




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