「うっわー!苗木かんわいー格好してるぅー」

「わ、わ、江ノ島くん…!」

「ねえねえこれなに、わんころ?忠犬わんころ?」

「狼人間だってば!」

「あ、狼。随分可愛らしい肉食系だな」

「…」

「冗談だって。そんな不貞腐れるなよ」

「(不貞腐れてないけど…)」

「でもほんと可愛いなー写メ写メ」

「あ……そうだ、江ノ島くん。トリックオアトリート!」

「は?」

「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!」

「なにイタズラしてくれんの?」

「え」

「苗木が俺にイタズラだなんて…ナニしてくれるんだろうな」

「(すごいにやにやしてる…)」

「早くしろよ。お前のために待ってやってるんだから」

「え、えええ…!い、イタズラ…」

「もしかして何も考えてなかったとか言うなよ?」

「う…」

「あれもしかして図星」

「ううう…」

「仕方ねえなぁ…俺がイタズラの見本見せてやるよ」

「え、いいよ。ちょ、ナニする気」

「そうだな…。

とりあえず、その狼人間の格好確かに可愛いが決定的に足りないものがある。俺様のイタズラでそれを改ざんしてやろう」

「足りないもの?」

「あぁ」

「えっと…それは一体」

「それはだな……露出だ」

「…はい?」

「色気がねえ。そのズボン短パンにしろよ。なんでこんなぶかぶかのズボンなんなんだよ。あと胸元はもっとあけろ。袖もいらねぇだろ」

「いやそんな格好したら寒いよ」

「寒いとかそんなの関係ねぇ。大人しく俺にイタズラされとけ」

「え、ええええ…!そ、そんなのイタズラじゃないよ!もっと普通なのを、って、嫌だって!やめ、うわああああ!!」


イタズラという名で行われた強行により僕は短パンノースリーブ更に胸元と背中をがばりと開けた服を着せられた。

寒いし男なのになんでこんな格好を、と思わずにはいられず僕は泣きながらその場をあとにした。後ろで爆笑しながら写メを撮っている江ノ島くんを無視しながら。


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