「あれ苗木くん可愛い格好してるね」

「あ、狛枝くん!今日はハロウィンだから仮装してみたんだ」

「可愛らしいわんこだなぁ…あぁ、たまらない」

「…狼人間のつもりなんだけど」

「あ、狼?ふふ、肉食な苗木くんに食べられちゃうのかな僕は」

「…」

「そうだ、ハロウィンならお馴染みの台詞を言わないとね。トリックオアトリート。お菓子ちょうだい、苗木くん」

「え、それ僕の台詞」

「あれ、もしかしてない?」

「いや、僕は貰う側で…」

「聞いてるのは僕だよ?」

「……う……ない」

「そっかぁ、ないのかぁ」

「…」

「じゃあイタズラしないとね」

「(嫌な予感しかしない…)」

「別に取って食おうってわけじゃないからそんな顔しないで」

「ほ、ほんとに?」

「うん」

「ほっ」

「じゃあそうだなぁ…とりあえずそのふさふさの尻尾をこっちに取り替えてもらおうかな」

「……なにそれ」

「ん?尻尾だよ?」

「……なんか、ヴィンヴィンしてるけど」

「あぁ動く尻尾なんだ、高性能でしょ?」

「………ちょっと、僕、他にも回らなきゃいけないから…」

「あれ苗木くんどこ行くの。お菓子持ってなかったんだからきっちりイタズラしなきゃ」

「ちょ、うわ!どこ触って…ひいッ誰か、助け、霧切さああああああん!!!」


もう狛枝くんのところにお菓子強請りに来ないようにしよう。そう決意せざるおえない程の傷を負った僕は半泣きでその場から逃げた。コマエダクンコワイ。


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