あいつとの出会いは本当に突然だった。
別に黄巾賊の集まりもねぇし、暇だったしでよく溜まっていたゲーセンで暇を潰していた時ふと視線を感じて目線を移すとあいつ、三好と目があった。
三好は黄巾賊の情報を集めていたらしいんだが、あいつは躊躇わずに俺に声を掛けてきた。
「君、黄巾賊の人?」
そんな風に話し掛けてきたのはあいつが初めてだったし、回りには俺と似たようなダチしか居なかったから…あいつの態度は新鮮というか…そんな感じだった。
あいつはそれから度々黄巾賊の事を聞きに来た。それ以外の他愛ない話とかもして正直、楽しかった。こいつは信用出来ると思って黄巾賊に誘い将軍にも紹介した。
「ヨシヨシ!?」
「正臣…くん…?」
でも二人は知り合いで互いの名前を呼んだのを聞いた時胸が張り裂けそうになった。
「ヨシヨシなら俺も大歓迎だ」
将軍も三好を信頼しているような感じだった。俺の信頼している三好を将軍も信頼しているのは正直嬉しい筈なのに、三好が将軍に笑顔を向けるたんびに胸が痛くなる。
俺は気付きたくなかったのかもしれない。
まさか男相手に俺がこんな気持ちになるなんて信じられなかった。でも、あれ以来考える事は三好の事ばかり。
自分でも気持ち悪いと思う。でも気付いたら止められなくなり俺は気付いたら三好にメールを送っていた。
――――……
「谷田部くん、」
「よぉ、三好。来てくれたのか」
三好は本当に素直な奴だよ。メールを送ってから30分、走って来たのか息が切れ切れになっている。
「どうしたの、いきなり急いで来いなんて」
「ん、ちょっと話したい事があってな。取り敢えず水飲めよ」
「あ、ありがと…」
まともに話せなさそうなくらい息を切らしていたから自分の手持ちの水を渡した。
三好は水を飲んで少し落ち着いたようだった。
「ふぅ…」
「落ち着いたか?」
「うん、ありがと」
笑顔でお礼を言われて少しドキッとした。
極力三好の顔を見ないように顔を逸らす。
俺は呼び出したまだ誰もいない廃工場にあるドラム缶の上に座って三好を促すように隣を見る。
三好はすぐに意図を察知してくれたようで隣に座った。
「…で、話って何?」
なかなか話さない俺に焦れたのか先に声を掛けて来た。普段は自分から話す事なんか少ないのに。
「えっ、あぁ…将軍のことでな」
「正臣くんの事?」
「あぁ、ほ…ほら、将軍ってさ今まで黄巾賊離れてただろ?だけど、戻って来てくれて…最初はあんなに拒んでたのに…。何を思って戻ってきたのかなってさ」
「…………」
三好は俺の話を黙って聞いていた。いつになく真剣な顔で。そして暫く考えた後に少し表情を緩めて口を開いた。
「正臣くんは仲間想いだよ。そして誰よりも友達想いだ。…きっと離れていても仲間だということは忘れてなかったんだよ。だから仲間がやられてるのに放っておけなかったんだね。凄いな」
その時の顔を見て確信してしまった。その時の顔は…憂いに満ちたような…恋患いしているような…少し頬は赤みの帯びていた。
やめろよ、そんな顔するなよ。
俺の前で…!!
「んだよ……」
「え、」
「そんなに将軍のがいいのかよ!!」
自分が何を言っているのかもう解らなかった。ただただ無性に腹が立った。将軍に三好を取られたような気がして。
「……谷田部くんは…、正臣くんの事…信じられないの?」
三好の言葉でハッと我に返る。熱くなった頭を冷やすために水を体の中へ注ぎ込む。
「…わりぃ…」
三好は静かに首を振ってくれた。
将軍とは長い付き合いになる。将軍の事は誰よりも分かっているつもりだった。
誰よりも強くて、誰よりも信頼出来ていたのに…。俺はまだ出会って間もないこいつにどうしようもないくらい惹かれてしまった。将軍への信頼を上書きされてしまうくらい。
「……お前さ…、将軍の事が好きなのか?」
「えっ!?そんな事…!」
俺の質問に慌てて否定する三好。顔を真っ赤にして説得力ねぇつーの。
俺の真剣な目を見たのか三好は否定する言葉を濁して"す、少し…カッコイイなって…"と答えた。
やっぱりなと心の中で呟いた。
でもやっぱり俺はお前を諦め切れねぇよ。
「三好…」
「え、……なっ」
気付いた時は既に三好を抱きしめていた。ぎゅうと力強く。
「や、谷田部くん…?」
いきなりの行動にオドオドする三好。
ここまでしてしまっては感情が全て抑えきれなくなってしまった。
こいつの目にはまだ将軍しか写ってねぇのかな…。
「俺は…」
「……?」
「俺は、お前が好きだ!」
「……!」
なぁ、俺を見てくれよ
(俺はどうしようもなくお前を好きになっちまったんだよ…!!)
always lover様に提出しました、初谷吉小説です!!
初なんでかなり口調は曖昧です←
何気黄巾賊ルートは美味いですよね!!
妄想だけが突き走ってしまいましたがこんなので大丈夫でしょうかっ!!
もう一つの方はもっと真面目に書きますんでっ!!
ありがとうございました