☆御礼駄文2☆
我輩は猫である。
名前は総司。
かわいい、かわいい僕の飼い主の千鶴ちゃんが付けてくれた素敵な名前。
いいでしょう?
ふわふわのほわほわ。
あたたかくて、気持ちが良い。
お日様の匂いが心地良い洗い立てのシーツにすっぽり包まった千鶴ちゃんの腕の中。
いつもそこが僕の眠る場所。
もうすぐ起きる時間になるのか、千鶴ちゃんがもぞもぞと動き出して僕も夢の中から覚めてきた。
「…う んっ、」
やだ、まだダメ。
起きたら直ぐにお仕事に行っちゃうんだもん。
寂しいよ。
だからさ、もうちょっと一緒に居ようよ〜。
“ゴロゴロゴロ…“
甘えるように鼻先を千鶴ちゃんにスリスリすれば、良い塩梅で僕の喉から耳裏まで撫でてくれて。
あー、だめ。そこ、僕弱いの。
千鶴ちゃんの絶妙な指のタッチで朝から蕩けちゃうからぁ。
僕を弄ぶ手に甘咬みなんかしてこのまどろみを楽しんでいたのに。
頭上に置いてあったケータイ電話がチカチカ光って音が鳴り出す。
いつもと違うその音にいっぺんに僕の眠気が吹き飛んだ。
そう、最近この音が鳴って千鶴ちゃんがお話しをするとなんだか嫌な気分になる。
だって、頻繁に『歳三』って名前が出てくるんだもの。
千鶴ちゃんがまだ目を瞑ったまま手を伸ばし鳴り続いているケータイ電話を手探りでさがしている。
きっとこの電話に出たら千鶴ちゃんは寝ぼけながらも僕を呼ぶ時と同じような優しい声で「おはようございます、歳三さん」って言うんだろうなと容易な想像が出来て。
何とも言えない怒りが込み上げてきた。
届きそうになって、でもまたあの歳三とかって名前を聞きたくなくて。
僕はぺしって端っこに弾き飛ばして前足で踏んずけてみた。
そしたら音もチカチカもとまって千鶴ちゃんの動きもとまった。
そうか、コレをふんずければあの不快な音も名前も聞くことはないのか。
これで良しっと。
さっきまでのイライラは何処えやら。
僕はするりと千鶴ちゃんの腕の中に潜り込めばギュッってされて、またご機嫌。
ダメだよ、千鶴ちゃん。
僕と一緒の時は僕以外の名前を呼ばないで!
「なんで、最近朝の電話に出ねーんだ。」
「え、あ、ごごめんなさい…?」
「なんで語尾が疑問系なんだよ。こっちが質問してんだよ。」
「え、だって…!?!?」
“ちょ、千鶴ちゃんになにすんのさ!!!“
『ふっしゃーーーっ!!!』
「っ痛ぇぇ!!こぅら!総司、何時も何時もてめぇわぁ!!!」
(千鶴ちゃんの1番は僕なの!)
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