ぼくをみつけるものがたり | ナノ
I knew it all along-風介

 引っ越した先は北海道だった。すごく寒いと思ったけれど思っていたよりもずっと楽だった。わたしと玲音は平均体温が元々低いために目の前で震えている未来よりかはましなのだろう。

 わたしたちの新しい家は一戸建てで、一階にリビングとダイニング、キッチン、風呂、トイレ、玄関がある。二階には私と玲音の二人部屋、深玖の部屋、書籍。私と玲音の部屋にはベッドが中心に二つ並べておいてあり、片方は黒で片方は青。ベッドを中心として二つに部屋は二つに分かれていて、青いベッドのほうは青系の色でまとめられており、黒いベッドのほうはモノクロでまとめられている。
 玲音と二人で部屋の中を覗き込み、顔を見合わせる。

「わたしは青系の色が好きだ」
「僕はモノクロが好きだよ」

 一瞬で決まった場所割り。本棚はどちらのエリアにも大きなものが一つずつあり、本棚の半分はすでに埋め尽くされている。

「気に入ってくれた?君たちの部屋」

 二人でベッドで遊んでいると、部屋の出入り口から未来が笑顔でこちらを見ていた。玲音と二人でうなずくと深玖はよかったといい外を指差す。

「今からお隣さんに挨拶しに行くんだ。隣には二人子供がいて、その片方のピンクいのが僕たちがこれから救う"敦也君"だから、一緒についてきて」

 そういった未来に着いていき、玄関を出て隣の家の前に行く。チャイムを鳴らせばしばらくして綺麗な女の人が出てきた。

「ああ、お隣さんに引っ越してこられた方ね。吹雪です」
「こんにちは、隣に引っ越してまいりました涼野ミライ、こっちはいとこの玲音と風介です。これからよろしくお願いいたします」

 苗字はわたしの苗字になったようだ。横で玲音がわざわざ吹雪さんにこちらをちらりと見ながら「涼野玲音です」といったのは絶対にわざとだろう。

「涼野風介です。よろしくお願いいたします」

 深玖が何か荷物(プレゼント?)を吹雪さんに渡して楽しそうにしゃべっているのを玲音と一緒におとなしく見ていると、横から視線を感じた。サッカーボールを手に抱えた双子。片方は青く、片方は桃色だ。玲音と顔を見合わせる。おそらく彼らが吹雪士郎と吹雪アツヤなのだろう。二人のほうに歩いていき、玲音といっしょに笑みを浮かべる。

「こんにちは、僕の名前は涼野玲音。よろしく」
「わたしの名前は涼野風介だ。よろしくな」

 二人は顔を見合わせ、綺麗に笑顔を浮かべてわたしたちに手を差し出す。

「ぼくはしろう!」
「おれはアツヤ!」

 わたしたちが迷わずその手を握ったのはいうまでもない。



「風介、今引っ越してきたときのこと思い出してたでしょ」

 教室で笑った玲音に笑い返す。引っ越してきたのは四歳になる直前で、今はもうあれから三年の年月がたってわたしたちは小学校に上がった。白恋小学校は雪にまみれた小学校で、学校に行くときは士郎、敦也、玲音、わたしの四人でいつも登校した。帰るときもいつも一緒なのだが、時々昼休憩だけでなく放課後も開く図書館によると気がある。本好きのわたしと玲音で図書室によっていたら遅くなってしまった。
 そうして図書室の帰り。少し考え事をしていたら完全に玲音に内容を見抜かれていた。思わず苦笑したが玲音も笑顔を浮かべる。

「おひさま園のみんな、元気かなあ」

 元気だろう、と返す。ともかく今のわたし達の最終目的は吹雪敦也を救うことだ。わたしは思わず、小さく握り拳を作ってしまっていた。

prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -