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なにか、静かな音がした。
ころんと胸の中で何かが落っこちた。



泣きそうになって
でも 目の奥が熱くなるだけで
涙になることなしに
ずっと 僕の中でくすぶったまま


血がみたいわ、とあなたは言った
そうかい、とぼくはいった



あの子の部屋から流れ落ちて来るピアノの音
軽やかに楽しそうに跳ねる鍵盤
いつも心安らぐあの子のメロディ

それがいつしかパタリと聞こえなくなった



それは恐ろしくも現実であるようでした



胸が痛いだなんて
息がしづらいなんて
動悸がするだなんて

そんな風になるのは心の一部が病気で壊れてるんだから切り捨ててしまえばいい

恋の病


目を閉じて
耳を塞いで
口を結んで
体を丸めて

目を開いて
耳を澄まして
匂いを嗅いで
体を広げて

そして、セカイは。



君が言ったんだよ
もう嫌だ、って
なのにおかしいじゃないか
そんな怯えた顔して
逃げるなんて



君の声が聞こえる
君の声が聞こえない



壁自体は壊れても
まるでまだそこに壁があるかのように
僕たちは越えられない
いもしない監視官に怯え
一歩踏み出されたら知らぬふり
まるで罪を犯すかのように
あっという間に離れてゆく
それはもう見えない壁が存在してる

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