出会い
TOAinアスベル
何故こうなったかは分からない。
ここが何処かも分からない。
ただ、今分かる事それは――…
(ヤバいという事、だな)
兵士に囲まれたアスベルは口元を引きつらせた。
何が何だか分からない為、下手に手だしも出来ない。
見た事がない鎧の兵士。見た事がない場所。
彼の弟や教官なら少しは頭を使い、どうにか切り抜ける事が出来たであろうが、今アスベルは混乱している為、上手く頭が使えない。
「貴様、どこから侵入した!」
「い、いや、どこからと言われても…」
「怪しい奴め!取り押さえろ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
武器を振り上げる兵士にアスベルは慌てる。
何が何だか分からないが、ここが何処かは分からないが、死ぬ訳にはいかない。
「すまない…!」
まず、近くにいる兵士の武器を鞘で叩き、飛ばす。
次に、兵士の腹を蹴り、ぶっ飛ばした。
「こ、こいつっ!」
その時、おい!とこの場の空気には似合わない声が聞こえた。
兵士達が慌ててそちらを向く。
アスベルも鞘を構えたままそちらへ向くと、そこには朱い髪をした少年がいた。
「お前ら、何をしている!」
「る、ルーク様!」
「賊です!危険ですのでお下がりください!」
「なっ、自分は賊じゃない!」
「えぇい、黙れ!」
兵士がアスベルにつかみ掛かろうとするが、ルークが制止の声をかけた為、兵士は動きを止めた。
「そいつ、何か悪い事したのか?」
「屋敷に無断で侵入したので…」
「それだけか?」
「は?いや、あの」
「入っただけで、何もしてないんだろ?」
なら別にいいじゃないか。
そう言うルークに兵士達は呆れてしまう。
何かあってからでは遅いと言うのに……。
「で、ですがルーク様」
「煩い!俺に口答えすんな!そいつには手だしすんじゃねぇ!」
「……は、はい…」
了解しました。そうは言うが、兵士達が納得する訳がない。
どこの誰かも分からない、そしていつの間にか屋敷の庭にいた不審な男を警戒しない方がおかしい。
「おいお前」
「…!」
呆然と見ていたアスベルは、いきなりルークに話しかけられ、驚いた。
「どこから来たんだ?」
「いや、それが…」
先程兵士達はこの少年を【ルーク様】と呼んでいた。
様、とつけているのだから、貴族なのだろうか。
「す、すみません。ここは、どこでしょう、か」
「………は?」
目を丸くするルーク。
こいつは、何を言っているのだろう。
まだ近くにいる兵士達も首を傾げている。
「お前、知らずに侵入したのか?」
「いや、俺は…」
侵入なんて、していない、筈。
「ここは、キムラスカ王国のバチカルだ」
だよな?と一応兵士を見るルークに、隊長であろう兵士が頷いた。
一方アスベルは、ルークの口から出てきた見知らぬ言葉に頭が混乱するばかりだった。
(キムラスカ?バチカル?どこだ、それは)
聞いた事がない。
嗚呼、ヒューバート、教官、ソフィ、シェリア、パスカル……。
誰でも良い。助けてくれ。
アスベルは青い空を見上げた。
そんな、二人の出会い。
‐END‐
すみません、とうとう書いてしまったアスルク!
自分はアスベル受け派なのですが、テイルズ主人公×ルークが好きな為、アスルクにハマッてしまいました!←
アスベルinTOAが好きです。
彼にはルークを守ってもらいたいです。
ルークの騎士になってくれ頼む←
2010.05.14.黒太郎
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[mokuji]