![]() == == == == == 「私ね、手術を受けたら目が見えるようになるの!」 そう嬉しそうに教えてくれた彼女はもういない。 生まれながらに目が見えなかった叶華。 だが霊的存在を認知する力を持っていた。 2人が出会ったのは叶華が15の時。 目が見えず体の弱い叶華と出会ったのは偶然だった。 晴れた屋上、2人きりだった。 平凡で退屈な少女。 それなのに、彼ーー藍染惣右介は彼女と会うのを楽しんだ。 社会を知らない幼い少女。 出る話は実に簡単で単調なものばかり。 ただ、叶華の独特の考えを聞くのが楽しかった。 周囲の非力さに絶望しかけていた。 それが、無知で無力な少女の笑顔が何よりも強く感じた。 結論だけ言えば、彼女の目は光を得られなかった。 叶華は、叶華の親は騙されたのだ。 光を得るどころか、片方の眼球を抉られた。 一命を取り止めたものの、長く眠り続けた。 誰も死神が延命を施したなどとは気付かない。 藍染は大切な少女を救いたい一心で回道を施してしまった。 それにより、残された目は光を得た。 どんな偶然でも、喜ばしいものだった。 ………叶華が霊を認識できなくならなければ。 ((対価)) == == == == == == == == == == 「やっと藍染さんを見られます!」 「見えないなんて言ったら怒ってしまうよ?」 「ふふっ、すっごいお爺ちゃんが見えたりして」 「これでも僕は若い方だよ」 「数百歳の若者なんていませんっ」 「死神にとってはまだまだなんだよ?本当に」 | → |