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適材適所
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『拷問のスペシャリスト』






そんな欠片も有難みのない、それこそ傍迷惑な異名がついて一体何十年……何百年経ったことだろう。



仕事として任された以上、従い続けてきた。

罪人と判決を下された者から判決待ちの者まで。

今まで拷問部屋に送られて来た全員から、必要な情報を"技術で"吐かせてきた。



拷問とはつまり、どれだけ相手の影になれるかだ。

自分を相手に重ねても決して共感してはいけない。







そういった裏の仕事をする上で、二番隊へと異動した。


私の主な仕事を知っている者は知っているし、他者に洩らす者は噂を盛って流布する。

そのため私には友人と呼べる存在がいなかった。



上司と部下の最低限の関係。

隠密機動を主力とする二番隊でも、全員が全員、裏の仕事に従事するわけではなく、距離を置こうとする者も多い。

他隊に至っては、私を恐れている節すらある。


それを悲しいとは思わなかった。

裏の仕事をする上で邪魔な感情は無くすべきだったから。







人生とはそういうものだ。





拷問官として見出されて得た諦観だった。


右を見ても左を見ても同じ景色。そうして私の視界には、神蒼空叶華という拷問官に当たり怯える罪人と青い空だけがあった。




((他に適した人間がいなかったから))
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悲鳴も慣れれば秒針が刻む音
血の臭いは冷たい岩肌に染み着いて
憎悪の炎は指先ひとつで消え去った


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