忌み児 == == == == == 母は、僕らを産んで死んだらしい。 そこまでして産んだ子供は双子だった。 「家を継ぐのは男の方がよい!」 「でも長子は叶華です!」 「双子が不吉なんてただの言い伝え!」 いつも、僕らが寝入った頃に怒鳴り声が聞こえてくる。 僕は眠る姉の隣でそれを聞いていた。 祖母は僕を生かして姉の叶華を殺せと言う。父はその逆を。そして傍系や家老が否定する。 どっちが家を継ぐとか死ぬとか、そんなのどうでもいい。 僕はただ、叶華を支えていたい。 目が見えない叶華の目として。 だからこんな家、捨ててしまおうと思った。 翌日、布団に入った僕は叶華の手を引いた。 「ねぇ叶華、2人でどこか遠くに行こう? 父上も婆様もいないところへ」 「……うん、明日になったら、遠くに…」 僕は嬉しかった。 親族なんていなくても、血を分けた叶華とずっと一緒にいられるなら……。 ーーそれなのに。 == == == == == == == == == == 「目の見えない当主など…。それに女なんて嫁ぐしかできない役立たずじゃ」 「あなたはっ、孫娘に加えて自分の娘まで貶すかっ」 「ふんっ、婿養子がしゃしゃりでるでないわ!」 「老いて尚一族を好き勝手扱うあなたはただの老害だ!」 「この家はわしが長年支えてきた、わしが使ぅて何が悪い!?」 「その思い上がりが!一族の衰退に繋がっているとまだ気付かれないのか!?」 | → |