01 == == == == == 「……なんだい、その不思議なものは」 加持祈祷を終えた石切丸を待っていた主。 石切丸の興味はその手の皿の上に向いている。 「何やら軽そうなものだね」 「食べてのお楽しみです」 「食べ物なのかい?」 まぁまぁと曖昧に答えて手を引っ張っていく。 「それは…紅茶、というやつかい?」 「知ってましたか」 石切丸曰く、燭台切が最近ハマっているらしい。 「私は普通のお茶の方が好きなのだけどね」 「これにはこっちのが合いますから、我慢ですよ」 日本家屋、その景観に随分と浮いて見えるティーカップ。 「ところで、それは主のいた時代の食べ物なのかい?」 「あ、わかっちゃいます? 実は手作りしてみました。」 じゃじゃーん、と小皿に乗せて提供する。 「これはシュークリームという洋菓子なんです。西の国の言葉でシューというのはキャベツを意味するようですよ。中が空洞になっていてカスタードクリームなどを入れてあるんです」 「シューク、…え、……カス、ド?キャベツ?」 どうやら理解できない横文字が多かったようだ。 「すまない……名前だけ教えてくれ」 「シュークリーム、です」 石切丸はしゅうくりいむ、と拙く復唱していた。 「まぁまぁ、とりあえず食べてみてください! お腹は壊さないくらいの出来ですから」 そう言って自分の分を一口パクリとかぶりつく。 それに倣うように石切丸もパクリ。 「!?!?!?」 行儀を気にしてか口は開けないがわたわたしている。 咀嚼しては首を傾げ、漸く飲み込む。 「あ、主、なんだいこれはっ。とても柔らかくて、それに中からとろりとしたものが溢れてきたよ。甘いが和菓子の甘さとは違っていて………とにかくなんだいこれはっ」 夢叶は満足そうに笑った。 ((リアクション大賞受賞)) == == == == == == == == == == 「あ、主、なんだいこれ……?」 「あ、厨組。これはシュークリーム」 「…?聞いたことがないね。主の時代のものかい?」 「そうそう、1個味見をどう?」 「それじゃあ失礼して……」 『……!?!?』 | → |