01 == == == == == 「主……」 今日も私は主の部屋の前までしか進めないのです。 私にはこれ以上進む勇気がないのです。 石切丸殿や大典太光世殿にどうにもできないなら私などには…。 私などが見舞っても主にはご迷惑でしょうか…。 「おや、そこに居るのは…太郎……うん、太郎太刀かね」 私はこの体格ですから気付かれてしまいましたか。 「体調は…いかがでしょう…」 「あー……そこには触れないでおくれ…」 ……もう偽る元気もないのですね。 「ところで、何かあったのかね」 「いえ…特には……」 ただここに来てしまったのです。 「太郎の言う通り、」 ? 「私には扱えなかった……。 私程度には過ぎた刀だったよ…」 主、そのようなことは…。 次郎ならば、もっと気の利いたことを言えるのでしょう…。 「…主、私をここまで長く振るった者は未だかつておりません。 主は一分も違わず私の主です」 かつて実戦で私を振るった者でさえ、ここまで長くはなかった。 私がこの本丸に来たのは少し遅かった。 今なら思います。 「どの刀よりも早く、主の下へ参じたかった……」 「…そういう嬉しいことはちゃんと向き合って言っておくれ…」 ((伝えたいことは言えないのです…)) == == == == == == == == == == 「兄貴ー、主はどうだったぁ?」 「思わしくないようです…」 「そっか…。あーあ、主も不老長寿だったらいいのにさー」 「それは主に人ならざるものとなれと…?」 「あたし等からしたら人間の寿命は短いよねってこと」 | → |