![]() == == == == == 「叶華ちゃん、あとであんていくに行かない?」 彼女と付き合い始めたのはほんの数日前。 人間と喰種という垣根を越えて漸く1歩前進できた関係、今はその糸が切れてしまわないようにしている。 少しずつ少しずつ、丁寧に手繰り寄せる。 「あんていくに?いいけど、どうしたの?」 蓮示くんの顔でも見たくなった?なんて聞いてくる。 まさか、叶華ちゃんより見たいものなんてないのに。 「なんとなくね、珈琲が飲みたくなったから」 「美味しいもんね、あんていくの珈琲」 無邪気に笑ってくれるから、よかったと思う。 断られたらどうしよう、なんて、後から考えてみれば無駄な心配で、杞憂に終わって良かったとしか思わない。 「このマスク作り終わったらでいい?」 「うん、じゃあここで待ってる」 ((今日の共有時間:8時間)) == == == == == == == == == == 「あ、そろそろ帰らないと」 「もう?」 「ごめん、夕飯のお使い頼まれてたの」 「そうなんだ。送ろうか?」 「え?いいよいいよ、そんな悪いから」 「ぼくが送りたいだけ。……だめ?」 「じゃ…じゃあ、お願いします…」 | → |