01 == == == == == ガチャ… 「おかえ……ウタっ!?」 絵を描いていた夢叶は鉛筆を落とした。 帰ってきたウタを見て慌てて駆け寄った。 「か…肩どーしたの?」 「ん〜、ちょっと油断して白鳩にね」 本人が落ち着いているため、夢叶の反応が大袈裟に見える。 「喰べたらすぐ治るよ…」 ソファに座り、目玉が詰められた瓶を取り出す。 しかし夢叶はそれを取り上げ、目の前に立った。 ウタの頬に手を当て、親指の腹で唇をなぞる。 そのまま唇の端を割り、綺麗に並んだ歯に触れる。 「ウタ………喰べて…」 赫眼が微かに見開かれる。 ウタは夢叶の手首を掴み、傷のない指をはむはむと噛んだ。 夢叶を人差し指で制し、噛んでいた親指を放した。 「もうこんな事しちゃダメだよ、ほんとに喰べちゃうから…」 目玉の瓶を取り返し、ぱくぱくと口に入れていく。 「人間は失くしたらもう戻らないんだから…」 夢叶は甘噛みされただけで血の出ていない指を見た。 そして、洗面所に逃げて行った。 「分かってよ夢叶……。 ぼくは君を喰べたくないんだ……。 いつだって対等な立場で、君を……。 ぼくは夢叶が……」 ((見上げる澄んだ瞳に気付いたから)) == == == == == == == == == == 「ウーさん、夢叶が来てんだけどさ〜」 「夢叶が……?」 「ありゃ?もしかして気付いてなかったのかい?」 「取って喰べたりしてないよね」 「あたしもウーさんに殺されるのは御免だわ。 でもさ、ほら、夢叶って良い匂いだし〜」 「………すぐ行くよ」 | → |