01 == == == == == 「君ってさ、変わってるよね」 ソファに座るウタの前に正座している夢叶。 「そう、かな…?」 暫くして目を覚ました夢叶はウタの住処にお邪魔していた。 最初こそ戸惑ったが、ウタの金髪を見て安堵したのだ。 「ぼくは喰種だよ? 因みにお腹が空いたら君を喰べるから…」 その言葉に一瞬ぎょっとした夢叶。 「ぅ……でも貴方は私を助けてくれたから…」 「別に助けたつもりはないんだけどな…」 ウタはあの日、あの辺りを散歩していただけ。 そこで喰場荒らしを見つけたから制裁を下しただけ。 「でも、お陰で私は生きてるわけだし…」 「ふ〜ん、まぁ君がそう言うならそれでいいけど」 ソファから立ち上がり、夢叶に近付く。 「…もしかして、本当は喰べないなんて思ってる?」 「喰べないの…?」 ウタは小さくため息をついた。 「もちろん喰べるよ、お腹が空いたらね。 でもさ、ほら、もっとないの?怖いとか嫌だとか」 あの男に襲われた時は覚えた感情が今はなりを潜めいていた。 「喰べられるのは怖いけど、…目……」 「目?」 「貴方の目、綺麗だったから…」 ポカンとしているウタ。 「あー……つまり?」 「つまり…?…つまり……よく分からないけど怖くない…かな」 それは夢叶自身にもよく分からない感情だった。 目覚めて最初に見た瞳の赤に、魅了されてしまった。 だからどうにも恐怖心を覚えなかった。 「……君がぼくには理解できない人種ってことは分かったよ…」 諦めたように言って、再びソファに腰を下ろした。 「それと、この部屋からは出ないでね」 此処は4区のリーダーがいる場所。 もちろん多くの部下たちがいる。 「出た時の命の保障は出来ないから」 いくらウタの物だと言っていても、だ。 「君、とってもいい匂いだから、普通より痛い死に方するかも」 そんな脅し紛いの忠告を受け、夢叶はコクコクと頷いた。 「それじゃあ、大人しくしててね…」 「あの、そこの作品…見てもいい……?」 「大人しくしててって言ったところなんだけどな……。 ……まぁ、部屋を散らかさないなら…いいよ」 ((居候は食欲増進剤)) == == == == == == == == == == 「あ、名前は……」 「…ウタ」 「助けてくれてありがとう、ウタ」 「いきなり呼び捨てか……歳も近そうだからいいけど。 君、名前は?」 「えっと、…聞くんですか?」 「喰べるまでの間、呼ぶ時に困るでしょ…」 「あぁ…夢叶」 「じゃあ夢叶、気が向いたらご飯持ってきてあげる…」 | |