01 == == == == == 嫌だ……怖い…。 誰か助けてっ……。 「はっ…はっ……はっ……はっ…」 自分がどこを走っているかも分からない。 兎に角、あの影から逃げたい一心でがむしゃらに走った。 後ろを振り向かず。 震える足を懸命に動かす。 「ーー捕まえたァ」 卑しい声と同時に手首を引かれた。 路地の壁に押し付けられた体がズキズキと痛む。 「やめてっ!離して……!」 顔も見えない相手に恐怖が芽生えて止まない。 必死にもがいてもびくともしない。 「あァ……また匂いが濃くなった。 美味そうだなァあんた。 ……興奮してきた……喰う前にヌかせてもらうぜ」 "美味そう"……? この人、まさか喰種……? いや………死にたくない、食べられたくない……! どうしたらいいの…。 パニックで何も分からない。 カチャカチャ その音だけが耳について、恐怖心を煽る。 「気持ちよくなってろよ」 「助けて!誰か…!」 「うるせぇなァ……。 どうせ俺に喰われて死ぬんーーー」 「4区の喰場を荒らすなんて、ぼくに喧嘩売ってるの?」 冷たい声。 その声がした時には、手の拘束が緩んでいた。 違う、拘束していた男の腕が落ちた。 嫌な音を立てて、地面に転がる。 それを振り返る勇気はなかった。 …助かった………。 そう分かって、体中の力が抜けた。 冷たい路地の地面に膝をつく。 そうしたら、もう意識なんて保っていられなかった。 ((路地裏の救世主)) == == == == == == == == == == 「金髪オールバックで」 「街では見かけないような服着てて」 「"ぼくに喧嘩売ってるの"って」 『不良です』 | → |