01 == == == == == ♪〜 ♪〜〜♪ 「ぁ、」 ディスプレイに表示された名前を見て電話に出る。 「もしもしお兄ちゃん? どうしたの?」 『――…いま20区か…?』 「ぇ、…ぁー…ううん。 別のトコだけど、もうすぐ帰るよ?」 もしかしたら家に帰っているかもしれないと思い、そう言う。 『そうか。…なら暫くどこか別の所で寝泊まりしろ』 珍しい言葉に理由を聞いた。 『――……数日後、ある喫茶店を対象に大きな作戦がある。20区には避難指示が出される予定だ。お前は先に避難しておけ』 「ぇ、…――」 夢叶は混乱した。 CCGが動く作戦ということは喰種関連。 喰種、20区、喫茶店。 そのすべてを満たす店を知っている。 とても身近で、大切な場所、人たちだ。 「ぅ、うん……分かった…」 今すぐにでも駆け出したい衝動を抑え、通話を終える。 「ウタ…どうしよ……あんていく、バレちゃったみたい…」 夢叶の様子の変化に気付きこちらを見ていたウタに言う。 「そっか…。 やっぱり動くよね……」 ウタに言ってどうにかなるとは思っていない。 いや、誰に言ったところでそれは同じだ。 誰にも、どうしようもない。 ――逃げる以外。 「っ!教えてあげないと…!」 慌てて立ち上がり、バッグも置いたまま店を出ようとした。 「――待って、…夢叶……」 ((駆逐対象:不殺の梟 == == == == == == == == == == 「先輩、お電話ですか?」 「あぁ…妹に」 「ああ妹さん。20区に住んでたんですか」 「先に避難するように言っておいた」 「いいんですか?まだ正式に避難勧告出されてないのに」 「……昔、何カ月も行方不明になったことがある。 また居なくなられては困る…――」 「先輩……(え、シスコン…?)」 | → |