01 == == == == == 「――それ…まさかキリンかい…」 什造は空を見上げる形で背後の人を見た。 「篠原さん。退院したですか。 あれ、夢叶もいるです」 「よ、迷惑かけたね」 夢叶は偶然篠原と会い、一緒に歩いていたのだ。 「動物は好きなのか?」 「断面図とか想像すると楽しいです」 『……』 篠原も夢叶も困ったように笑った。 「…また大きな作戦のメンバーに抜擢された。ある喰種の駆逐作戦だ。…君のお兄さん――平子上等も抜擢されたみたいだよ」 それは初耳のことだった。 まだ連絡は来ていない。それが少し悲しかった。 「対象は"梟"という喰種。レートはSSS」 「強いですか?」 「ああ強い」 特等である篠原すら次は本気で死ぬかもしれないと言っている。 夢叶は心配でたまらなかった。 「…什造、私はお前が死んだら哀しいよ」 「…?」 什造はその感情がよく分からないようだった。 「死ぬとか死なないとかそんなに大した事じゃないです」 「…ああそう。まぁお前はそういうやつだよ…」 「夢叶は怖いです?死ぬの」 什造に真っ黒な目を向けられる。 「んー…」 夢叶の頭を過るのは大切な人たちの姿。 「そう…だね。ちょっとだけ怖いかな。 誰かを残して死ぬのも、誰かが死んで置いて行かれるのも」 ((いつか来る未来)) == == == == == == == == == == 「若いのに考えてるんだねぇ」 「そうですか?」 「そうそう。最近の若い子は身近な危険に疎いのに」 「…多分身近に危険と隣り合わせの人がいるからですよ」 | → |