01 == == == == == 「え、あの後カネキくん来たの?」 ウタは今、久しぶりの食事中だ。 夢叶はそれを見ないように机に向かっている。 イトリの店で人間に出す軽食を考えているのだ。 「うん、蓮示くんや芳村さんのことが知りたいって」 「あー」 夢叶はその2人を思い浮かべる。 「2人とも自分の事話しそうにないもんね」 蓮示のことはウタから聞いて多少は知っている。 だが芳村のことは全く知らない。 「だから蓮示くんに話を聞きに行くって」 「芳村さんに直接聞いた方が早くない?」 夢叶は蓮示がコンテナに住んでいることを知らなかった。 「蓮示くん、普段はコンテナに住んでるんだよ」 「コンテナっ!?」 思わず振り返ってしまった。 「あ、ごめん」 血腥い光景を見てしまい慌てて姿勢を正す。 「――今はリゼさんもいるみたいだし、ちょうどいいと思うよ」 再び振り向きそうになるが何とか耐える。 「リゼさん、生きてたの?」 少し前まで死んだのではないかと話していたのに。 「そうみたい。 蓮示くんが連れて帰ったって」 そこに至った経緯は全く教えてくれなかった。 「でも事件が増えたって聞かないけど…?」 リゼの呼び名は"大喰い"。 戻って来たなら以前の様に奔放に喰べていそうなものだ。 「今は蓮示くんに管理されちゃってるから」 蓮示に管理され事件を起こせない。 つまり食事だけでなく行動も制限されているということ。 「そうなると……ちょっと可哀想…」 喰種の飢えは耐えられるものではないとウタも言っていた。 逃げられないように食事を抑えられているなら相当空腹だろう。 「夢叶ってホント変。 自分を喰べるかもしれない相手の心配するなんて」 「そう…?」 夢叶にとっては"喰べられなかった"、それが事実だ。 「リゼさん、優しくしてくれたし」 それが今、空腹に喘いでいるなら同情したくもなる。 「――…またリゼさんに会いたい?」 ((根源の帰還)) == == == == == == == == == == 「それって……殺してきたの…?」 「そうだよ。蓮示くんみたいに自殺者探すの面倒だし」 「そっか……そうだよね…」 「嫌なら嫌って言って?まぁ止められないけど」 「……大丈夫。生きるためだもん、仕方ないよ」 「すごい、割り切れちゃうんだ」 「大事な人と赤の他人なら、ね」 | → |