01 == == == == == 「あれ、カネキくんにヒナミちゃん」 することもなく、ウタも何やら創作意欲が湧いているのかマスクを作ってばかりなため、1人で街に出ていた。 暫く会っていなかったため声を掛けたのだ。 「お久しぶりです」 「あー……大丈夫?その体調とかマスクとか……そう、ウタがマスク壊れてないか心配してたよ」 万丈たちと行動するようになってから点検には来ていない。 「はい、大丈夫です」 「どこか行く途中?」 金木は最近、身を隠していた節がある。 その彼が行動することは何かあるのだろうが、ヒナミを連れているとなると不思議に思うところがある。 「その…好きな作家さんのサイン会があるのでそれに…」 あまり本を読まない夢叶には無縁なイベントだった。 「そうなんだ、邪魔してごめんね」 「いえ。ところで夢叶さんは…?」 周りを少し見る金木。 ウタのことを探しているのだろう。 どうやらいつも一緒に居ると思われているようだ。 「暇つぶしに歩いてただけ」 ウタは仕事であることを告げる。 「あの、夢叶さんも一緒に行きますか?」 「いいっていいって! 2人の邪魔しちゃ悪いし、じゃあまたね」 手を繋いで2人を見て、手を振って立ち去る。 「あー……」 金木は嵐の様に去っていく夢叶を見送った。 「綺麗な人だね、お兄ちゃん」 「え、あ…うん、そうだね」 ヒナミを放置して話していたことを思い出す。 「ご、ごめんね、それじゃあ行こうか」 「はっ……はっ……は、…」 夢叶は金木たちと別れ、また当てもなく歩いていた。 すると前から髪を揺らしながら走ってくる女性。 急いでいるらしいその人。 綺麗な人だな、と思いながらすれ違う。 タ、タ、タ、タッ……タタタタッ 「お姉さんいいね!」 肩に手を置かれて振り向けばそんなことを言われた。 反応に困っていると手を引かれた。 「わ、わわわ……何ですかっ」 「悪いが後でいいかね、急いでいてね」 なに悪いようにはしないさ、と引っ張られ走る羽目になる。 もちろん知らない人だし抵抗しようとした。 しかし思っていたより力が強く、振り払う事が出来なかった。 ((遅刻、ち、こ、く〜)) == == == == == == == == == == 「あれ、夢叶出ないなぁ…」 「え、なになに、とうとう無視されちゃった?」 「…ちょっと出れないだけだよ」 「どうかねぇ?恋人放ってマスク作りに耽ってたんだから」 「だから一言謝りの電話を…」 「電話の1本、デートの1回で済ませようってのがウーさんよねぇ」 | → |