01 == == == == == 「これじゃあ大したもん食べれないです…。 やっぱ篠原さんにお小遣いねだっておけば良かったです…」 裏道を通っているとそんな声がした。 1本隣の道に出ると、ふわふわした感じで歩く人が居た。 「あの、大丈夫…?」 「どちら様ですー?」 振り返った子は男の子にも女の子にも見える。 真っ白な髪はぼさぼさで、服のサイズもあっていない。 「えっと、…通りすがりの人(?)…です。 お金が足りないようなら貸すけど…」 パシッ 「やったです〜、僕ちょうど困ってたトコです。 あ、どうせなのでお姉さんも一緒に食べるです〜」 手を掴まれたと思ったらもう歩き出している。 「え、あ、うん…。何か食べたいものある?」 「食べたいものですか〜? 特にないですね……できれば美味しいものが食べたいです〜」 美味しいもの…と考えながら歩く。 すると突然…。 ブオォォォ 突風が吹いた。 「おおぉぉ…」 靡く髪を押さえて隣を見れば、ぼさぼさの白髪が更にぼさぼさになっていた。 「あ〜前髪邪魔です…」 「ピン使う?赤で良かったらだけど…」 「赤好きなので遠慮なく使うです〜」 そう言ってピンを取ったものの、上手く決まらないようだ。 「付けようか?」 「お願いするです」 前髪を横に流し、ピンで留める。 初めに2本使い×印を作り、2本を縦に挿す。 「どうかな?」 「見えないです…」 慌ててバッグから鏡を取り出し、出来栄えを見てもらう。 「ん〜…あと1本足して13にして欲しいです〜」 言われた通りに1本足してあげると満足したようだ。 「ありがとうです〜。 このご縁は覚えてたらまた今度返すです〜」 「(…"ご縁"…?恩じゃなくて?あ、恩着せがましいか) 気にしないで、好きでやっただけだから」 ((この街は出会いでいっぱい)) == == == == == == == == == == 「ところでその手のはどうやってるの?」 「これですか〜?糸と針でチクチクやるです」 「すごーい、器用なんだ」 「?お姉さんは嫌な顔しないんですか?」 「何で?個性的で良いと思うよ。 私の知り合いにもタトゥーとか入れてる人いるから」 「たとぅ?」 「えっとね…針刺して皮膚の下に墨入れるの」 「墨ですか……僕は黒より赤がいいです」 | → |