順応力の弊害 == == == == == 私が4区に腰を据えたのは、"彼"に惹かれたから。 彼の持つカリスマ性であり、他者を捩じ伏せる力であり、楽しむ事を全力で楽しむ彼自身にだった。 「や、ウーさん」 この間、流れ者と派手に喧嘩したらしい4区のリーダー。 その姿を認めて声を掛けた。 「叶華さん、久しぶり。 最近見なかったけど、どっか行ってたの?」 今日も相変わらずあのサングラスをしている。 「他所で大きなドンパチがあったから見学してきた〜」 「相変わらずだね叶華さん」 褒めたつもりはないだろうが、叶華には褒め言葉に等しい。 「ところでさ、面白い流れ者がいるって聞いたんだけど〜?」 「カラス君のこと? 会いたいなら止めないけど、あんまオススメしないよ?」 ウタにそこまで言わせるとは。 逆に会いたくなるのが叶華のサガである。 「今度ヤり合う時は教えてよ、見に行くからさ」 「イトリさんにでも聞いてよ」 確かに、イトリなら耳が早そうだ。 「ん。じゃあまた…ーー」 「叶華さん」 背中を向ける前に呼び止められた。 「んー、なになにウーさん」 「最近ぼくの周りにいないなーって思って」 何が言いたいのか分からず首を傾げた。 「叶華さんにとってぼくはもう色褪せちゃった?」 「全然。ウーさんの周りは話題が尽きないからね。 新鮮なネタばっかりで好きだよ?」 すると納得したようで、ウタから背を向けた。 「他所に目を遣るのもいいけど、ぼくのトコもおいでよ。 たまの浮気くらい目瞑ってるから」 ((刺激そのものから刺激の窓口に)) == == == == == == == == == == 「やー、イトリ!元気してた?」 「叶華じゃん!あたしゃこの通り!そっちこそどーなの?」 「愚問愚問。でさー、例のカラス君ってどこいるの?」 「あー、あの流れ者?耳が早いわね」 「だってウーさんが勝ちきれなかったって相当の猛者じゃん」 「まーそれもそうね。初めてね」 「会ってみたいから居場所教えてよー」 「流れ者よ?居場所なんてさっぱり。 それよりアンタ、ほんと飽きっぽいし移り気よねぇ」 | → |