帰ってきたもの == == == == == 鼻孔をくすぐる香りに目を覚ましたウタ。 ぼんやりとした頭のまま、香りの元へ向かった。 「帰ってたの?……叶華」 「あ、おはようございます!ウタさん」 キッチンで珈琲を淹れていた叶華。 ウタに気付いて元気良く挨拶をする。 「昨日やっと平子さんからお休みが貰えたので」 「そう……おかえり」 労うように優しく抱き締める。 その時は部屋の隅のアタッシュケースを気にしなかった。 「叶華はホントに平子さんのこと好きだね……」 2人で珈琲を飲みながらテレビを見ていた。 「はい!はっきり言ってくれるので。 この前も"綺麗だ"って言ってくれたんです!」 心の底から嬉しそうに言う。 「そう……良かったね」 嫉妬などない、言葉通りの意味しか含まない返答。 「それで、その…………暫く見てもらえなかったので、…久しぶりに"調整"してもらいたくて……」 「そうだね、……久しぶりに見ておこうか」 何を考えてるかわからない瞳のまま了承する。 「それじゃあ奥行こ…」 席を立ったウタを追い掛け、手を繋ぐ。 「、……大人になったと思ってたけど、まだ子供だね」 「だって、子供のままの変わりやすい方が手を加えてもらえるんですから」 ((相反する立場)) == == == == == == == == == == 「あの、シャワー借りたいんですが……」 「?……汗かいてなさそうだけど」 「でも見てもらうなら綺麗な姿だけで…」 「だめ。ありのままを見ないと。 それに叶華はそのままでも綺麗だから……」 | → |