空振り == == == == == 今日こそ……今日こそは………。 そう思ってウタに顔を近付ける。 ぎゅっ 「叶華ちゃん好き……」 抱き締められて今日も失敗。 抱き締められるのは嫌じゃない。 優しい言葉も顔が熱くなる。 でも、違う……。 私が欲しいのは抱擁でも言葉でもなくて…。 匂いを嗅いだりして一通り満足すると解放された。 ウタは私の頭をひと撫でして、マスク作りに戻る。 私は自分の唇に触れてみる。 これがウタのそれを重なったことは1度もない。 付き合って暫く経つけど、まだ。 ウタは抱き締めてくれるし好きって言ってくれる。 嫌なことなんてされたこともない。 とってもいい彼氏。 喰種だなんて思えないくらい優しい。 「(なんでキスはしてくれないの………?)」 ((欲求不満)) == == == == == == == == == == 「……それ気に入ったの?」 「うん、綺麗……!」 「じゃあこれ1つ下さい」 「かしこまりました」 「もー…別にいいのに」 「いいの、他に使うあてもないから…」 「おまたせいたしました」 「はい叶華、プレゼント」 「ありがとう!」 | → |