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根底を揺るがすもの
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あー…………頭がくらくらする…。


手がとても熱い。
心が冷めていくのが分かる。

君の声が…聞こえない。









「苦しい……?叶華」


ぼくは倒れる叶華を見下ろした。

短く途切れ途切れの息を吐き出してる。
今すぐ楽にしてあげたら、恨まれずに済むのかな…。

あぁ、でも無理か。

その細い胴体に穴を開けたのはぼく。



「ぁ、……、…………、…っ……………」



溢れ出た血に手が疼いてる。

どうしてかな……?

その体を好きなように引き裂いて血を見たいから?
それとも、傷口に押し当てて、出血を止めたいから?

たぶん、……どっちも。


ぼくの愛情は破壊衝動も一緒についてくる。

それでも、今まで本当に殺そうとしたことはなかった。

一時の悦楽に身を委ねるには大きすぎる喪失感。



本当に好きだし、一緒に居たいとも思う。
それでも、ぼくは叶華を殺さなきゃいけない。

君には人を変えてしまうほどの影響力があったから。

ぼくの根底を揺るがさせるわけにはいかないから。


あぁ………もう焦点が合わなくなってきた。


今の叶華は何を見ているんだろう。

ぼくは見えているのかな?
もし見えているなら、どんな風に見えているのかな?

この世界を、喰種を憎いと思うのかな?





「ダメだよ叶華………ぼくを見て」





いつもより冷たい頬を両手で挟む。
ぼく以外が映らないように顔を近付ける。

それでも、叶華がぼくを見ている確証はなくて…。


「ねぇ叶華、ぼくのこと好きだった?」


ぼくが喰種でも?
君たち人間を喰らうバケモノでも?

ねぇ、答えてよ……。

どんな答えでも怒らないから。


「ぼくは……好きだよ、叶華のこと」


そう、好き。
今でも、好きだよ。

すぐにでも助けてあげたいくらい。

助けて、とぼくを求めてほしい。





((ぼくの全てを塗り替えて))
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「あらァ、今日はあのかわいこちゃんいないの?」
「んー………ケジメつけるんだってさ、ウーさん…」
「まァ……別にいいと思うんだけどねぇ、アタシは」
「みんなそーだっての。あれでウーさん、変なトコ潔癖だから」
「そうねぇ………でも、寂しくなるわね」
「好きなことやって好きなコと居るくらい欲張りでもいいのにさ……」
「叶華ちゃん選んだら変わっちゃうって分かってたのよ……きっと」


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