rebellious stage == == == == == 「カネキくんって妹とかいたりしない?」 突然の質問に目を丸くする金木。 「一人っ子なので…」 従兄弟はいたが男だ。 "妹"と限定してる当たり、理由があるのだろう。 「あの…ウタさんは妹がいるんですか?」 「んー、結構歳の離れた子がいるんだ」 意外すぎて返す言葉が出てこなかった。 ウタさんの妹……とどんな人か想像する。 「(…ウタさんみたいにピアスとかタトゥーとか色々してるのかな……いや、でもウタさんも話すとちゃんと優しいし…。あるいは、ウタさんを支える真面目で頼れる妹さん…)」 「反抗期みたいでさ、最近会いに来てくれないんだ」 ぱっと想像を止める。 「えっと、妹さんは何歳なんですか?」 「歳?えーっと…この間高校入ったって言ってたから3年……あ、でももう卒業したんだっけ…?ん〜……18くらいじゃないかな」 金木は愕然とした。 まさか妹の歳を覚えていない兄がいるとは。 「い、忙しいだけかもしれないですよ」 そのくらいの歳ならバイトしたり友人と遊んだり。 もしかしたら恋人ができていてもおかしくない。 「でもメールとかはちゃんと返してくれるし…」 それほど重大な反抗期ではないのではないか、と思った。 「じゃあ最近怒らせるようなことをしたりは」 う〜ん…と思い出そうとしているウタ。 私生活が想像もできないのでこういうことは聞くしかない。 多少興味があったりもする。 「あ、先週怒らせたかも。――お風呂入ろうと思ったんだけど、叶華が入ってるの知らなくて……ちょっと見ちゃったかな」 さらに愕然とした。 「そ、それは兄妹じゃなくても怒りますよ!」 思わず立ち上がって言ってしまった。 「そう? 昔からよく見てたから特に何も思わないけど」 出来ればそれは聞きたくなかった、とは言わない。 「子供の頃ならまだしも、18歳にもなれば、」 恥じるのも怒るのも仕方ない、というより当然だ。 さらに言えば、兄であるウタも多少は恥じるべきだ。 「やっぱり怒ってるから会いに来てくれないのか…」 マスクをいじる手を止めて大きなため息をつく。 「ねえカネキくん、ぼくどうしたらいいと思う?」 意見を求められて「えぇ!?」とのけ反る。 「蓮示くんに聞いても無駄そうだし、イトリさんはもっと怒らせることしか教えてくれそうにないし……兄妹って難しいね」 カラン 「あ、」 店の扉が開き、ウタが立ち上がったので金木も振り返った。 そこには黒髪で容姿の整った女の人が立っていた。 「おかえり、叶華。 もう来てくれないかと思った」 ウタが抱き締めてよしよし、と頭を撫でている。 「は?」 至極わけが分からないという風な叶華。 「よく分からないけど、はいコレ。 兄さんに頼まれたもの」 在庫切れで遠くまで行って買ってきたんだから、と押し付ける。 「って、お客さんいるのに何してるの!」 ((さっさと働く!)) == == == == == == == == == == 「じゃあ怒って会いに来てくれなかったわけじゃないんだ」 「なんで怒ってる前提なの?」 「だって先週ハダカ見ちゃったから」 「今さら裸見られたくらいで怒らないって」 「やっぱり?カネキくんが兄妹じゃなくても怒るって言うから…」 「あっ、いえ!お二人が気にしないならいいと思います!」 「金木さん?の言ってることは正しいけど、相手が兄さんだしねぇ…」 「…?叶華はぼくなら見られても良いってこと?」 「こういう人だから。あまり"普通"は求めないで下さい」 | |