女王のセンゲン == == == == == 現在 京都ーー地下 吸血鬼たちの第三都市サングィネム 日本の建築様式とは違う建物。 荘厳なそれは城のようにも見える。 カッ 広い廊下を歩くミカ。 迷うことなく1つの部屋に入る。 「今日、始祖の血を継ぐ貴族の方々に集まってもらったのは他でもない。脅威――それは東京以北において暴れている"日本帝鬼軍"という名の人間どもの組織だ」 そこは講堂のようだった。 何十人もの吸血鬼たちがその話に耳を傾けている。 中央の上座には吸血鬼の女王クルルがいる。 その下で女の吸血鬼が話している。 クルルはミカに気付くと小さく笑った。 「人間の…組織……」 「奴らは我らの同胞を殺し、領土を拡大し、欲望のままに禁忌の呪法に手を出す。情報では再び"終わりの天使(セラフ)"の実験までしているという」 どうやらフェリドも参加していたらしい。 そしてその隣には例のフードの少女。 こんな所でもフードを許されるのか、と思う。 フェリドはミカに気が付くと手を振ってきた。 それを無視して吸血鬼たちから離れたところに座る。 「このまま奴らを野放しにしておけば8年前と同じ大厄災が起こることは間違いない。よって我らは…」 その時、クルルが立ち上がった。 それに気付いた女の吸血鬼が振り返る。 クルルは女を手で制すると、自ら話を続けた。 「よって我らは"日本帝鬼軍"を殲滅することに決めた。 ーー戦争だ!世界の安定を守るため、我らは欲深い人間どもを皆殺しにする!」 女王直々の宣言に吸血鬼たちは俄然やる気のようだ。 『オオオオオオオオオオ!!』 その様子を楽し気に眺めているフェリド。 隣に座る少女の肩を抱く。 どうやら最近のお気に入りのようだ。 「戦争…終わりの天使(セラフ)……」 ミカは小さく呟いて高い天井を見上げた。 思い浮かべるのは遠くに行った大切な家族の顔。 「優ちゃん、すぐ助けに行くからね…。 そうしたら一緒にルカを……」 ((見つめる紅い双眸)) == == == == == == == == == == 「ミカ君に無視されちゃったなぁ」 「嫌われてるんじゃない…?」 「ひどいなぁ。ところでそろそろ僕の名前憶えた?」 「………リボンの人?」 「ん〜、出来れば名前の方を憶えてよねぇ」 | → |