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- ナノ -

塗り潰されたキオク
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「どういうことだ…?」

優は好奇心というより心配しているようだった。





「私、……記憶がないの。

だから、親がどんな人だったから幸せ、とかって分からない。

優しい人たちだったなら覚えてない私は不幸だし、酷い人たちだったなら知らない私は幸せだと思う」





「そう、だったのか……」

優は少し暗い顔をした。

百夜孤児院には親の顔を知らない子はたくさんいる。
だが、記憶がないという子は聞いたことがない。

幸か不幸かも知らない方が、不幸なのかもしれない。


「でもね、私はそれでいいと思う」

「?」

ルカは起き上がり、優の隣に並んで座った。

「思い出したいとは思うけど、此処にいる限り、きっとそれは無駄なことだから、無駄なことは考えない」

「よくねぇよ…そんなの」

今度はルカが?を浮かべる番だった。

「思い出したいんだろ」

「無理だよ」
「無理じゃねぇよ!」

大きな声で言われ、少し驚く。




「此処から逃げ出したら探そうぜ。

俺もミカも茜も、みんなで一緒に!」




ルカは涙目になりながら笑った。

「っ、うん!」

そして優に抱き着いた。

「優くんっ」
「お、おいっ」

床に倒れ込んだ2人。

優はルカの頭をぎこちなく撫でた。


「もしお父さんやお母さんがいい人じゃなかったら私のこと慰めてね」

「…あぁ、俺たち家族だからな」



((ミカほどうまく慰めらんねぇぞ))
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「じゃあもしいい人だったら一緒に喜ばなきゃな」
「え、ホントに?」
「家族に良いことがあったら喜ぶもんだろ!」
「〜!子供っぽいけど優しいね優くん」
「一言余計だっ」


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