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居場所が変わったクリスマス
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8年前
12月25日ーークリスマス



百夜孤児院の前に1台の車が停車する。

ガチャッ

「おい!!放せよおっさんっ!」
「言われなくても放しますよ」

面倒そうに言うスーツ姿の男。

その手では子供の手を引っ張っている。


「なんせ今日からここが君の家なんだからね」

「俺に家なんかねぇんだよ!!」

子供ーー優はジタバタと暴れる。

「ま…派手に家が燃えちゃったからね〜。
おまけに君は両親に殺されかけた嫌われ者」

キッと男を睨み付ける。



「でも大丈夫、この孤児院には君と同じ嫌われ者仲間が……家族がいっぱいいるからさ」



男の手を振り払う。

「…家族なんて俺にはいらねぇんだよ」

「いらなくてもどうせ君はここに入る」

両親はいない。
子供1人。

ここでしか生きていけない。





「だからようこそ、百夜孤児院へーー天音優一郎君」






外は雪が降っている。

それでも、孤児院の中で遊ぶ孤児たちは暖かそうだ。

「ああ、そうそう。約1名、とても美味しそ……可愛らしい子がいるけど、下手に関わらないよう…」

言いかけて言葉を切る。

顔を上げ、孤児院の扉を見る。



「あ、砂糖さんだ〜」



出てきたのは幼いルカ。

「斉藤です」

私はシュガーではありません、と言う。

「まったく、噂をすれば何とやら……」










斉藤は優を孤児院の院長に引き渡すと車に乗る。
ルカが追いかけてきた。

「砂糖さ〜ん」

「はぁ……」

訂正するのも面倒だと言いたげなため息。

「遊ぼ?」

運転席から白い息を吐くルカを見下ろす。



「この後も仕事だから却下。
そもそも君みたいな子の遊び相手は息子の専門…」



「つまんない」

それだけ言って、諦めたのか屋内に帰っていく。

寒さに耐えかねたのかもしれない。

「ガキになっても生意気だなぁ〜。
さ、仕事に戻るとしましょう」


((温かなプレゼント))
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「ミカ、新しい子が来たみたい」
「え、どんなこ!?」
「あれ、砂糖さん」
「斉藤さん、ね」
「男の子連れてる」
「わー、これはリーダーの座を死守しないとだね」


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