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- ナノ -

柊のバケモノ
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「出世した。"吸血鬼殲滅部隊特務少尉"になった」

「ほうほう、さっすが名門三宮家。
全然活躍してないのに出世だなんてなかなかやりますねぇ」


呼び出しの帰り、シノアに会った三葉。

気にしていたことを言われる。

「あは〜怒りました?」



「別に……。
面と向かってそんな風に言ってくれるのはあんただけだし…」



陰でグチグチ言われるよりしっかり受け止められる。

シノアもそれは分かっているようだ。

「…優は違ったけど」

三葉はシノアも階級が上がるのか聞く。

「あんた今回の件で当然階級がーー」
「上がりませんよ」

笑顔で言ってのけた。

「もし昇進辞令がきても全部蹴っちゃいますしね」

「さすが本家様、やりたい放題だね」

しかしシノアはむしろ中枢に見捨てられているのだと言う。


「なにせ姉が柊を裏切って大事件を起こした張本人なので」






「"鬼呪"に呑み込まれて壊れて天才ーー柊真昼、か」






真昼は天才だった、天才すぎた。

そのせいでシノアは父に会ったことすらない。

「たくさんの女に産ませた子供の中で姉は次期家長候補として最も評価されていた」

だが死んだ。

「ラッキーなことに雑魚な私は用済みに」

少なくともそう思う人間はほとんどいないだろう。

「ラッキーって……」



「だって腹違いとは言え家族同士で権力を争うなんて嫌でしょ。
それも相手はあの柊暮人なんてバケモノですし」















「憑依しろーー"雷鳴鬼"」



「なっ…!
てめ鬼呪は使わないって…!!」

首元に刃が向けられ黙る。

「なるほど、お前の実力は分かったよ」

「……卑怯だぞ」

それを認めた上で、それが?と言う。


「戦場で卑怯だと叫びながら死ぬか?」


1番信じられないのは戦場での約束事だ。
命の危機となれば人間は容易く約束を反故にする。

「だがその態度はいい」

主家の言うことを疑いなく聞く姿勢には好感が持てる、と。

「跳ねっ返りのグレンの部下とは思えな…」





ギィンッ





暮人の背後で優と女軍人が刃を交えていた。

「…ぐっ、この子強……!」

三宮葵、三葉の姉だった。

「お前いま仲間が守ってくんなきゃ死んでたぞ」

先程の暮人の言葉を重ねて…。

「背中から襲うなんて卑怯だーっていうか?」

「ははは…負けん気が強いな」

優の挑発には乗らない。



「前言を撤回しよう。
確かに君はグレンの部下だ」


((伊達じゃない))
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「そういや君月と与一はどうした?」
「君月さんと与一さんですか?そういえば見当たりませんねぇ」
「呼び出されてはいなかったはずだが…」
「まさか、ね……」


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