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吸血鬼のナミダ
== == == == ==

「優ちゃん…ルカ……」



ビーーーッ プシュッ

『鬼呪の毒の除去が完了しました』



カプセルのようなものの蓋があく。

むく…と身を起こして目を擦る。
そこであることに気付く。

「……涙なんか吸血鬼になってから流したことなかったのに…」

手の甲には透明な涙が落ちていた。





ビーーーッ プシュゥッ

着替えていると先程と同じような音がした。


「いやぁたかが人間ごときにひでぇ目にあったな。
お前が1番が出にやられたけど傷はどうだよ、ミカ」

どうやらラクスとレーネも入っていたらしい。

ミカはそれに答えることなく着替えを続ける。

「は、新入りの分際でまた無視かよ」

ため息をつくラクス。


「しかし…。
いったいあの戦場にいたバケモノは何だったんだろうな…」


レーネの言葉にあぁ、と反応する。

「あれなぁ、上位始祖会でも問題になってるらしいぞ」

「問題?」






「なんでも人間どもが世界を滅ぼしかねない禁忌の研究に手を出してるって。確か……"終わりのセラフ"とかいう…」






ミカは優を思い浮かべた。

「今回の新宿の襲撃も結局、アレの回収が目的だったんだって」
「ほう、じゃあ作戦失敗か?」

ラクスはさてね〜と言ってはっきりと答えない。

「指揮とってたフェリド様は、そもそも何考えてるかわかんないとこあるし、……わかんねぇけど」

同族にまでそう思われているようだ。

着替え終えたミカは出口に向かう。


「……でも、お前は知ってるんじゃないの?
なにせあのバケモノ、お前の知り合いだったんだろう?」


だからクルル様のお気に入りなのか?と問う。

「百夜ミカエラ、お前いったい何者なんだ?」

答えないなら調べてもいいんだぞ、と軽い脅しをかける。

「…何者?
何者か?」

思い出すのは優の言葉。



ーーお…おまえもう……人間じゃないのか…?





「僕が何者か……そんなの見ればわかるじゃないか。
ただの醜い吸血鬼だよ」




((涙のように透明な心))
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『伝令、伝令。
百夜ミカエラ様、第三位始祖クルル・ツェペシ様が及びです。
至急"王の間"にいらしてください』
「ほら呼び出しだぞ、女王のお気に入り」
「……」


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