急襲のショウジョ == == == == == 「…お、俺は…だめだよミカ…。 俺はいけない。ここには俺の仲間が……」 グレンは言った。 シノアたちが新しい家族だと。 昔のことは忘れろ、と。 だが、昔の家族を忘れはしなかった。 それでも、シノアたちも今では家族だ。 「違う!!仲間は僕とルカだけだ!! 優ちゃん騙されないで!!人間どもは君を利用…」 「いやああああああっ!!」 「おら、余所見してんじゃねぇ!!」 グレンが背後から斬りかかってくる。 「はいはい、ちゃんと構ってあげますよ〜っと」 剣で受け止め、軽く弾き返す。 優はミカが連れて行った。 となるとグレンの相手はフェリドになる。 「っ、……余裕ヅラしやがって」 再び斬りかかってくる。 「そう何度も同じ攻撃されたら余裕も出るよ」 「ちっ、バケモンが!!」 「……邪魔」 「ガハッ」 急に割り込んできた吸血鬼に蹴り飛ばされる。 そこそこ飛んだ後、瓦礫に激突する。 「ってぇ〜……なんだ…?」 痛みに耐えながら攻撃してきた相手を見る。 その相手はフェリドの隣に立っていた。 他の吸血鬼たちと同じような格好。 ただ他と比べると腕や足の露出が明らかに多い。 フードで顔を隠しているが、体型的に女。 「(はっ、吸血鬼は女までバケモノかよ…)」 血の混じった唾を吐く。 「おーおー、強ぇ奴にばっか囲まれやがって」 かと言って銀髪の吸血鬼が弱いわけじゃねぇが、と思う。 「そーかなぁ? 君が弱いだけじゃないの?」 「お前らバケモノと違って人間だからな」 「君だって十分バケモノだよ、人間にしてはね」 なんせ一気に何人もの吸血鬼を殺したのだから。 「で?今までどこ行ってたの? それにその血……」 「お散歩。…してたら襲われた」 マントに飛び散った血液。 くんくんと匂ってみれば確かに別人の血だ。 「じゃあ何しに戻ってきたの?」 「飽きた……帰りたい」 「ワガママだなぁ……」 自由すぎるのも困りものだ、とため息をつく。 「…幸せ逃げるよ」 「楽しみさえ逃げなきゃ別にいいよ」 吸血鬼には幸せとかは関係ない。 ちゃんと血を飲めるかが大切なのだ。 まぁ、フェリドの場合は退屈しないかも重要だが。 「この人間たち捕まえたら帰るから少し待ってて」 ((家畜にするためにね…)) == == == == == == == == == == 「死ね!!吸血鬼!!」 「え……」 「ーー!ガハッ……何だ、貴様…」 「…知らない人には教えない」 | → |