殺せないワケ == == == == == 「ゆ……優ちゃん?」 「何してる!? 早くその吸血鬼に呪詛入れて殺せ!!」 ミカは距離をとろうとグレンから剣を抜こうとする。 「(抜けない……!)」 「はっ、俺の勝ちだヴァンパイア!!」 グレンは刀を取ると振りかぶった。 「く……!」 ミカは剣を離し、飛び退いた。 「ふざけんな!! てめぇなんで殺さなかった!!」 グレンに殴られ尻餅をつく。 「え…あ、いや……」 刺された影響で血を吐き、膝をつくグレン。 「お…おい大丈夫か!?」 「くだらねぇ心配すんな!」 駆け寄った優を押し退ける。 「前だけ見てろガキ、ここは戦場だぞ!」 今まで見てきたどのグレンとも違っていた。 「おい馬鹿優!」 「いったい何をやってる!?」 君月たちも到着する。 「今のは殺せただろうが!」 何故鬼呪を発動しなかったのか問う。 「ミカが………」 「え?」 「俺の家族が、吸血鬼の中にいる……!!」 ((大切な家族なんだ!)) == == == == == == == == == == 俺は望まない。 誰も望まない。 家族と戦って殺すなんて。 こんな世界でなければ……。 | → |