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殺せないワケ
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「ゆ……優ちゃん?」



「何してる!?
早くその吸血鬼に呪詛入れて殺せ!!」

ミカは距離をとろうとグレンから剣を抜こうとする。

「(抜けない……!)」

「はっ、俺の勝ちだヴァンパイア!!」

グレンは刀を取ると振りかぶった。

「く……!」

ミカは剣を離し、飛び退いた。





「ふざけんな!!
てめぇなんで殺さなかった!!」





グレンに殴られ尻餅をつく。

「え…あ、いや……」

刺された影響で血を吐き、膝をつくグレン。

「お…おい大丈夫か!?」
「くだらねぇ心配すんな!」

駆け寄った優を押し退ける。

「前だけ見てろガキ、ここは戦場だぞ!」

今まで見てきたどのグレンとも違っていた。



「おい馬鹿優!」
「いったい何をやってる!?」

君月たちも到着する。

「今のは殺せただろうが!」

何故鬼呪を発動しなかったのか問う。


「ミカが………」

「え?」






「俺の家族が、吸血鬼の中にいる……!!」





((大切な家族なんだ!))
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俺は望まない。
誰も望まない。
家族と戦って殺すなんて。
こんな世界でなければ……。


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