牢の中のゴラク == == == == == 「ん〜〜…」 ルカは今、チェス盤とにらめっこしていた。 というのも、フェリドのチェスに付き合っているのだ。 まあ……完全に遊ばれているが。 だが教わった時よりはそこそこ強くなった。 「(よし、この駒を…)」 ルカが駒を動かす。 「はい」 すぐに動かしてくるため、また考え込むことになる。 「……」 「あはぁ〜、必死ですねぇ」 たまにこうした茶化しが入るが無視無視。 「はい、チェックメイト」 ルカは若干口を尖らせる。 最近ではフェリド相手にもこういう表情をするようになった。 「あは、悔しかったら泣いてもいいですよ♪」 「誰がっ」 楽しそうな顔がムカつく。 「ルカちゃんって意外と負けん気強いよね」 負けた後、そのゲームの反省点を教えてくれる。 次に役立つように、とのことらしい。 …が、1度だって役に立ったことがない。 フェリドが同じ戦局にしないからだ。 「僕が勝ったから今日は何をしてもらおうかなぁ〜♪」 2人で遊ぶ上でフェリドが設けたルール。 それは勝者は敗者に何でも命令できる、というもの。 これはルカのやる気を煽るためのものであり、同時にルカが負けた時の顔を楽しむための布石である。 「そうですね〜、最近血も吸ってませんでしたし、」 ルカは嫌な予感がして椅子を引いた。 「今日は血を……逃げちゃ駄目でしょルカちゃん」 立ち上がろうとしたルカの背後に回るフェリド。 流石吸血鬼、目で追えるスピードじゃない。 「約束はちゃんと守ってくれないと」 フェリドはルカの服を引っ張り、肩を露出させる。 「逃げたお仕置きも含めて、今日は少し痛くしちゃうよ?」 ルカはベッドに丸まって肩をさする。 そこには2つの小さな穴が開いている。 先程フェリドの牙が刺さっていた場所だ。 「あの悪魔……」 と愚痴を溢すほどには不満で一杯なのだ。 フェリドは今ここにはいない。 ミカに会いに行くと言っていた。 もちろんルカも行こうとしたのだが…。 「こんな時に…」 血を吸われすぎて貧血なのだ。 絶対フェリドの計画だと思っている。 「ぁー…気持ち悪……」 置いて行かれた以上、此処からは出られない。 フェリドには出ないように言われたため、出るとお仕置きが待っている。そして他の吸血鬼に見つかると血を吸われる危険性がある。 こうなっては仕方ない。 「寝よ……」 ((最近要らぬ順応性が身についた)) == == == == == == == == == == 「ん〜、今日も美味しい血だねぇ。 暫く飲んでなかったから身に染みるよ」 「ぅぅ……」 「それじゃあ僕はミカ君に会いに行ってきますね」 「っ、…わた、しも…」 「僕が部屋を出るまでに追いつけたらね〜」 「(連れてく気ないでしょ!)」 | → |