力を求めるモノ == == == == == 「じゃあーま、めんどいの嫌いだし。 ちょっと1回こいつらの能力試してみっか」 グレンが腰の刀に手を掛ける。 「ちょちょうそ!?グレン様!?」 小百合も慌てている。 「…ありゃ、まさか中佐攻撃するつもりですか?」 シノアも席を立つ。 「死んだ奴は、あ〜…。 修練足りてなかった自分を恨め」 刀を床に刺す。 ズ…… ズン 「がぁ?なんだ、これ」 「し…心臓が締め付けられる」 生徒たちがバタバタ倒れていく。 優や君月も苦し気だ。 「え?え?みんなどうしたの?」 ただ与一だけは平然としている。 「……ん」 シノアも立っているが、少し辛そう。 「はい終了〜」 刀を鞘に納める。 「よーし、じゃ今意識がある奴、見込みがある。このまま訓練続けてきゃ、鬼呪装備契約の儀に移れる可能性がある」 と言っても、ほんの一部だけ。 「あと立ってられた奴」 そこまで絞ると片手で足りる数しかいない。 「お前らは優秀だ。すぐに俺の剣と同ランクーー"黒鬼"シリーズに挑戦させてやる」 立っているのは優、君月、与一…。 「…お前は気絶しろよ」 「はは」 シノアの4人。 「呪符無しで余裕な顔しやがって」 さすが日本帝鬼軍の党首筋、柊家様と皮肉る。 「可愛げないぞ」 「え〜うそ〜。 こんなに可愛いじゃないですか〜?」 死ね、と切り捨てるがシノアは軽く笑っている。 「あの、グレン様。 無茶苦茶な試験はいつものことでいいのですが」 …よくないと思う。 「与一くんを"黒鬼"シリーズに挑戦させるのはどうかと思います」 「俺の決定に文句あんのか?」 小百合は文句はないのだと言う。 「しかし、与一君は心は安定していても、鬼を受け入れるだけの強さは……」 「強さがなきゃ死ぬ。ここはそういう世界だろ。 おままごとやってんじゃねぇぞ」 小百合の言葉も最もだが、軍人としてはグレンが正しい。 だが鬼は弱い人間を嫌う。 与一はきっと鬼に憑りつかれてしまう。 シノアも与一の挑戦に前向きではない。 「うるせぇなぁ」 グレンは与一を呼ぶ。 「お前吸血鬼に殺された姉貴の復讐したいんだろ? なら命懸けるよな?」 「グレン中佐!!僕やります!! もっと強い力が欲しいから!! もう大切な人を失わないですむだけの力が欲しいから!!!」 ((こいつも結局俺と同じか…)) == == == == == == == == == == 「よーし、ならさっさと行くぞ。 契約の儀式に移んぞ」 | → |