別れた後 / 彼女の場合 - 1/11
モニカのCDを床に投げつけた。 そして、ケースにひびが入ったそれを自分で拾った。
残されたよれよれのTシャツを、残り香と一緒に抱き締めて夜を過ごした。 少しずつ消えていく優しい匂いに、また胸が苦しくなった。
すぐに、最後の涙になる。 すぐに、諦められる。 すぐに、夢を見ない日が来る。 すぐに、なんとか朝を迎えられる日が来る。
あなたの名前を呼ばなくなる日が来る。 きっと、すぐに。
そんな風にずっと考えていたのは、別れが哀しかったからだけじゃない。 選択肢は2つじゃなく3つあったはずなのに、それを選ぶことが出来なかった自分が悔しくて仕方なかったのだ。
今なら、その3つ目を選ぶことが出来る? そんなの分からない。
だから、それまでは何度も自分に言い聞かせるの。
大丈夫なフリを、するの。
Episode. 04
別れた後 / 彼女の場合
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