チューリップ



いつからやろな、なまえを女の子として意識してきたのは。


俺となまえは幼馴染みで、小さい頃からずーっと一緒やった。今の今まで、なまえに対して異性として好きやなんて一度も思ったことはない。いや、好きやねんけど恋愛の好きとは違った。でも最近俺おかしいねん。なまえがめっちゃ好きやねん、今までの好きとなんかちゃうねん、名前呼ばれるだけでときめくねん、それになまえめっちゃかわええねん、ヤラしいことまで想像してまうねん。


「白石、さっきから思うてること全部口に出とるでぇ、めっちゃねんねん言うとるやん」
「…なぁ、謙也」
「なん?」
「俺、なまえに恋してるん?」
「ドあほ、もう立派な恋やんけ」


謙也がめっちゃニヤニヤしながら机にうなだれる俺を見とる。んな顔で見んなや、後でしばいたろ。


「なんや教室におったんやね蔵」
「なまえ…!」
「なぁなまえ、白石テンション低いから元気付けたってやぁ」
「どしたん?なんで落ち込んどるん?謙也のくせにいじめたんかぁ?」
「謙也のくせにってなんやねん!」
「ジョークやんかー、蔵大丈夫?」


側に寄ってきて、俺の顔を覗き込むなまえ。一瞬息止まったわ。俺が少し顔動かせばキス出来る距離やで?あかんやろ、可愛いすぎや。


「…大丈夫や、今元気出た」


俺は机から顔を上げて、なまえの方を見る。なまえの後ろで謙也がニヤニヤしとるけど気にせん。


「そ?ほならよかった!」


その俺に向けられとる無邪気な笑顔を見て、思わず口元が緩むのが自分でもわかった。そして気付いた。ああ、これは完全に恋やな。俺はなまえに恋しとる。そう確信したら、想いを伝えたくてどうしようもなくなった。クラスのみんながおるとかどうでもええ。そう考えた数秒後には、俺の口から想いを伝えていた。

「なぁ、なまえ」
「ん?」


想いが口から言葉としてどんどん溢れてくる。なまえは驚いた顔しとったけど、すぐに泣き顔に変わっとった。そして泣きながら俺に抱きついてきた。惚気やと思うけど、その涙は嬉し涙やな。謙也や男子のクラスメイトらがはやし立てとる姿が目に入ったけど、そんなん気にせんで俺は彼女に愛を囁いて、口付けを落とした。




チューリップ
(いつから俺の中でこんなにも愛が芽生えてたんやろなぁ)
(今最高に絶頂な気分や)
(ピンクのチューリップの花言葉は愛の芽生え)



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