残念な美少女
なーにが好きです付きおうてくださいや、アホ。あんたが告白しとんのはあたしの彼氏じゃボケ。そない上目遣いで目うるうるさせとっても蔵ノ介には効かんで!あたしのやったら一撃必殺やけどな!
「おおきに。気持ちはうれしいんやけど、俺彼女おんねん」
蔵ノ介!ちゃんと彼女おるん伝えて断った!ようやった!よかったー、疑ってた訳やないけどやっぱ気になるもんね。
「せや、知っとる?俺と同じクラスのなまえ」
ん?なんや?よう聞こえんけどあの女、彼女が誰か確認しよったんか?
「そう、ちょっとガサツな子やけど、ええ子やしかわええ子やで」
ちょ、ガサツて。なに聞かれたん。つか蔵ノ介もいちいち言わんでええわ!!ええ子でかわいいは当っとるけど。
「あー、確かに。ちょっとメイク濃いよなぁ…。俺はすっぴんでもかわええ言うとるんに。学校にもしてきちゃってるもんなぁ、よう先生に呼び出されとるで。ほんま困った子や」
え、なに?ケバいてディスられとるんあたし。蔵ノ介がすっぴんかわええ言うてくれるんは毎度毎度うれしいねんけど、メイクしとる方が気合い入んねん、メイクしとるあたしもかわええ言うてやダーリン!!
「なまえは黙っとれば美少女やからな」
うん、いらんとこはスルーや。美少女っちゅーだけでOKや。
「口も悪いし喧嘩っ早いとこもあるけど、俺はなまえが大好きやねん。先に惚れたんも俺やしなぁ」
冒頭部分は置いといて、蔵ノ介…、そんなにあたしのこと好きやねんなぁ、あたしも大好きやで。
「せやな、残念な美少女やけど意外にモテるからななまえは。でももう俺のもんやし、惚れさしたもん勝ちや」
なんかもう、さ…、ちょいちょい悪口みたいなん挟んでくるやんけ。ど突いたろ思ったけどうれしいことも言うてくれるし堪忍したるけど…。
「ほなな、好きになってくれておおきに」
あ、あの女と別れた。気になるとこ多々あるけど女もあっさり引いてくれてよかったわ。これズルズル引きずっとったらあたし蔵ノ介ファンにいじめられるしなぁ、負ける気せんし返り討ちにしよるけど。
「つかほんまに好きになってくれてありがとうなんて言う人おるんや…」
「なまえちゃーん、さっきからずっとなにしとんねん」
「ぎゃあ!く、蔵ノ介、気づいてたん…?」
「最初から気づいとったで。あの子は後ろやったからわからんかったかもしれんけど、俺側からはずっと見えとった」
「えー、あたしがこそこそしとるんわかってて話してたんや…」
「そっ、でもいい機会やったろ?俺がちゃーんとなまえのこと好きなん再確認できて」
なんやこいつ、めっちゃドヤっとるやん。勝ち誇ったような顔しよって腹立つ。けどやっぱかっこええわ好き!!
「あんなことせんでも蔵ノ介があたしにベタ惚れなん知っとるし」
「へー、えらい自信やん」
「こんな残念な美少女を彼女にできたんやで?もう好きで好きで離れられんやろ」
「せやな、自分みたいな強気な女、俺しか付き合いきれんわ」
「ふふっ、蔵ノ介だーいすき!」
「俺もやで」
とりあえず、次の授業はサボることにしようや。
残念な美少女
(次オサムちゃんの授業やん)
(オサムちゃんなら察してくれるやろ)
(ま、今日は気にせんでええやろ)