外見にだまされたらアカン!


昨日はあんなことがあったからか、なかなか寝付けへんかった。


はじめてお兄ちゃんに反抗したなぁなんて、少し後悔もあるわけで。グーパンチもお見舞いしちゃったし…。でもお兄ちゃんのために謙也と別れるなんて絶対嫌やし、なにがなんでも謙也と付き合うことを認めさせなアカン!!


リビングに降りたら、パパとお姉ちゃんは仕事、お兄ちゃんは朝練で既におらんかった。んでママが朝の情報番組を見ながら一人で朝食を食べとった。毎日お疲れ様やで。


「おはようママ」
「おはよう。ねぇなまえちゃん、お兄ちゃんから伝言なんやけど、今日から昼休み一緒に過ごそうやって」
「は、なんで」
「知らんけど、今日から昼休みは毎日一緒やなんて言うとったで。ほんまあんたら仲ええな」


なに意味わからんこと抜かしとるんやアホ兄。まぁだいたい予想はつく。どうせ謙也と二人きりになってほしくないんやろ。


絶対お兄ちゃんの思い通りにはさせへんで!


朝食を食べて、学校に行く準備をして、迎えに来てくれた友達と一緒に学校へ向かった。


「はぁ…、とうとう昼休みやな…」


ボケーっと授業を受けとったからか、あっちゅーまに昼休みの時間がやってきた。謙也はもういつもの場所にもうおるやろうな、謙也が見つけた人気のない階段上。お兄ちゃんが来る前に早よ行かな思って、お弁当袋と水筒を持ってすぐに教室を出た。


…ら、教室を出たとこでお兄ちゃんと鉢合わせしてしもうた。…最悪や。


「なまえちゃん、迎えきたで」


お兄ちゃんが現れると、まわりの女子達がキャーキャー黄色い声援を飛ばす。みんな見た目に騙されたらアカンで、こいつはただのアホやねん!うっとい奴やねん!と、ほんまは大声で言ってやりたい。てか早よ謙也の元へ行きたい。



「…あたし急いでんねん、ほなな」
「ちょお待ち、なまえちゃん」


お兄ちゃんを通り過ぎようとしたら肩を掴まれた。離せと思い振り返ると、お弁当一緒に食べるで、とニコニコしながら言われた。


「なまえ、謙也と約束しとるから無理」
「じゃあ三人で食べようや。俺と謙也となまえちゃんで」


なにちゃっかり混ざろうとしとんねんと思ったが、どうやらお兄ちゃんは本気みたいや。


そりゃお兄ちゃんと食べるごはんはおいしいし楽しいけど、学校におるときくらいは謙也と食べたいし、休み時間とかはなるべく謙也と二人きりで過ごしたいねん。


「な、なまえちゃん」


うわ、語尾にハートマークでも付いてそうな言い方やな。きも。


自分で嫌や言うとるくせに、今日くらいお兄ちゃんも一緒でええかな、と思って許してしまうあたしも大概ブラコンなんやと思う。


謙也との件でお兄ちゃんに苛々したんは事実やけど、あたしお兄ちゃんのことめっちゃ好きやもん。小さい頃から好きやもん。


でも謙也と付き合うて思ったことは、少しでもお兄ちゃん離れせなアカンのかなって。今までみたいにベッタリとはいかんのかなって。これからは謙也との時間もいっぱい作りたいしってのも理由やけど。


「…行こ、お兄ちゃん。謙也待っとる」
「学校でなまえと昼飯食べるん久しぶりやから楽しみやわー」


かわええこと言うとるな!そないなこと言われたら怒れなくなってまうやんけ!


どんなにムカついても、嫌いや思っても、お兄ちゃんはお兄ちゃん。かっこよくて優しいあたしの自慢のお兄ちゃんやで。


そしていつもの場所をへ行くと、もう謙也がおった。お兄ちゃんも一緒やったから驚いとったけど、まぁなんやかんや三人で楽しくお昼ごはんを食べた。ちょっとお兄ちゃんの質問攻めがやかましかったけど。もちろんひとつも答えてへん。


お昼ごはんを食べ終え、解散したあとにスマホのメールアプリで謙也に謝っといた。返事には、埋め合わせ頼むわ!なんて書いてあった。続けて届いた文には、今度は俺んちで会おうな、なんて書いてあるもんだから、スマホを見ながらニヤついてしもうた。友達には彼氏かうらやましいわー、って茶化されたけど気にせん。


早よお兄ちゃんに謙也との付き合いを認めてもらいたい。いや、認めさせたい。


とりあえず今日は、昼休み楽しかったとお兄ちゃんに伝えよう。


でも一緒なんは今日だけやからな!


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