妹の彼氏が俺の親友だった件


とある休日の午後。今日は部活も休みやし、家でゆっくりすることにした。昼過ぎまで寝れたし満足や。そろそろリビングに降りよう。


「…誰もおらんやん」


言葉の通り、今家には俺しかおらんみたいや。まぁたまには一人でゆっくり過ごすのも有りやなって思い、おかんが準備しとってくれたであろう昼飯を温め直そうとしたら、玄関の鍵が開く音がした。おかんあたりが帰ってきたんやろか。


「こっちこっちー、誰もおらんし上って!」
「おじゃましまーす」


ん?帰ってきたんがおかんやのうて妹やってことは声でわかったけど、今男の声もしたよな…?


「リビングでゆっくりし……」
「お、おかえり、なまえ」
「え、は?お兄ちゃん?なんでおるん?」
「なんでって、ここ俺んちやし。さっき起きてん。てか男の声聞こえたんやけど…」
「なまえー、どないしてん?扉の前で止まって、あっ」
「…謙也?」
「おー、白石…」


妹の後ろからひょっこり誰かが顔を出してきたと思ったら、俺のよう知っとる奴やった。え、どういう状況?なんで謙也が家おるん?てかなんで謙也となまえが一緒におるん?


「謙也!やっぱどっか行こ!家電かけたら誰も出えへんかったしお兄ちゃんもおらんと思って…」
「せ、せやな!どっか行こか!おじゃましましたー!」
「ちょお待ち」


がしっと二人の肩を掴むと、謙也は引きつった顔で俺を見て、なまえはものっそ嫌そうな顔で俺のことを見た。なんや汚いもんに触られたかのような顔しよって!お兄ちゃんかなしいわ!


「なぁ謙也、自分、なんでうちのなまえちゃんと一緒におるん?」
「え、えーと…、なんでやろなぁ?はははっ」
「謙也!こんなんほっといてええから行こ!」
「こんなんってなんやねん!お兄ちゃん傷付くわ!」
「白石すまんなぁ、今は見逃したってや」
「アカン、二人共こっち来なさい」
「あーもう最悪やー」


二人をリビングに引き連れソファーに座らし、俺も真向かいに座る。なんや妹は苛々しとる感じやし、謙也は焦ったような怯えたような感じをかもしだしとる。真逆な二人の表情に少し笑いそうになったが、今は抑えよう。


「で?なんやの?手短に頼むわ」
「単刀直入に聞くけど、自分ら付き合うとるんか?」
「えっ!」


あーあ、謙也はわかりやすい奴やなー。今の反応でバレバレや、聞くまでもなくなったがな。


「付き合うとるけど」
「なんでお兄ちゃんに言わへんの」
「なんでお兄ちゃんに言わなアカンの」
「お兄ちゃんに生意気な口きくんやない」
「お兄ちゃんこそ首つっこまんといてくれますー?」
「ちょ、二人共落ちつきや…」
「「謙也は黙っとき!!」」
「はい」


今にも兄妹喧嘩になりそうなところを謙也が止めに入ろうとしてくれたが、今の俺らにはそんなん無駄や、無駄無駄!


「なんでお兄ちゃんに隠し事なんかしてん!」
「別に言わなアカンことでもないやろ!?」
「謙也やん!クラスメイトやん!テニス部やん!お兄ちゃんにも知る権利ある!」
「いちいちお兄ちゃんなんかに報告することやない!」
「なんでやねん!」
「いちいち言わなアカン意味がわからん!」


つ、ついになまえも反抗期がきたんやな…!いつもならお兄ちゃんお兄ちゃんって後着いてくるくせに!よっしゃ、反撃したろ。


「あーあ、そない生意気な口きくんなら、なまえの秘密言ってしまいそうやー」
「え?ひ、秘密?」
「なぁ謙也、なまえな、まだ俺と風呂入ってるんやで」
「なっ…!」
「きゃぁぁぁああぁ!!言わんといてぇぇぇえぇ!!」


ふっ、これはダメージくらったやろ。お兄ちゃんっ子なところを謙也にアピールしとかんと!


「参ったか妹よ!」
「なにも謙也に言わんでもええやろ!!」
「あ、あのほんま落ちつきや、白石もなまえも…」
「あーもうほんまお兄ちゃんきらい!!」
「きっ、ききききききらい!?」


アカン、大ダメージや。立ち直れへん。今はなまえちゃんと謙也が付き合うてるという事実よりも、きらい言われたほうのがほんま傷付くわ。


「あ、白石おとなしくなった」
「お兄ちゃんなんか放置してあたしの部屋行こ謙也」
「なまえの部屋…?」
「なに顔赤らめとんねん自分!」
「お兄ちゃん黙っとき」
「なまえちゃーん…」
「来んといてね!」


バタンッ、とリビングの扉が閉まる。去り際に、謙也が堪忍な、って言っとった。腹立つわ。うちのなまえちゃんを他の男に取られてたまるか!ましてや謙也なんかに!!ヘタレのくせに!!!


そう思ったらいてもたってもいられなくなって、俺は妹の部屋へ向かった。が、妹の部屋の扉を開けたら、猛烈なパンチを妹からくらって、廊下に吹っ飛んだ。


「なまえ、力ついたな…」


キレんでそう思ってしまうあたり、俺は相当シスコンなんだと思う。


さて、謙也から妹を取り戻すお兄ちゃんのストーリーのはじまりや。


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