眠い、とてつもなく眠い。昨日は白石くんの意味深な言葉のおかげで全く寝付けなかった。お陰さまでいつも以上に授業に集中出来ず、先生に怒られまくったよ。しかも一限目からずっとね。でももう昼休みだし、ごはん食べたら少し寝よう。
「なまえちゃん?今日どないしてん、ずっと先生に怒られっぱなしやったな!」
「あ、忍足くん…、昨日寝れなくてさ…」
「飯食いながらも半分寝とったやろ」
「え、あ、うん」
やばい、眠すぎて忍足くんの話しもちゃんと入ってこない。
「そういえば白石も寝不足や言うとったな」
「え!白石くん!?なんかあたしのこと言ってた!?」
「どしたん急に、えらい元気になったな」
「あー、ごめん…」
「なまえちゃん、白石のことほんま好きなんやなぁ」
「うんそうなんだよ…、って、え?」
「鈍感な俺でも見てて気づいたで」
そんな…、忍足くんにまでバレてたとは…。でも待てよ?忍足くんを味方につければもっと白石くんと仲良くなれるかもしれないしいろいろ聞き出せるかも…!
「心の声ダダ漏れやで」
「はっ…!しまった…!」
「ええよええよ、そんな白石が大好きななまえちゃんに白石情報教えたる」
「えっ、なになに!?」
机から少し身を乗り出すと、忍足くんは得意げに話し始めてくれた。
「白石、気になる子出来たっぽいで」
「き、気になる子…?」
「その子と普段は普通に話せるんに、二人きりになった途端うまく話せんとゆうか、気の利いた会話が出来んって言ったった」
「ほー…」
それってあたしが白石くんに対しての状況とそっくり。なんていうか…
「白石くん、その子のこと大好きなんだね…」
そう言うと、忍足くんはまた得意げな笑みを見せた。残念やったななまえ!って感じなんだろうか…。
「ま、そういうことや!気落ちせんでどんどん白石にアタックやで、惚れさせたもん勝ちや!」
「うん、ありがとうね忍足くん…」
そっか、白石くんにも気になる子いたのね。昨日のことを思い出すと、あたしだったらいいなぁ、なんて思うけどそれは図々しいっていうか…。気になる子が誰なのか気になる!ああややこしい!!
「謙也、今みょうじさんと話しとったやろ」
「せやけど、なんで?なに話しとったか気になるん?」
「あんま余計なこと言うなよ?」
「ははーん?白石でも焦ることあるんやな」
「うっさいわアホ、早よお昼ごはん食べるで」
「…白石も寝不足?」
「早よ食べんと謙也の弁当もらうで」
「それは堪忍してや!」
はぁ…、今日も寝不足決定だ。