逮捕しちゃうぞってか


夕方になると、蔵ノ介が早めにむすこをお風呂に入れて寝かしつけてくれたおかげで、夜は大人達だけでハロウィンをたのしんだ。あたしは未成年やから大人なんかはようわからんけど。


「千歳、この芋焼酎うまいな!どこで手に入れたん?」
「熊本のばい。今度帰ったとき白石にも買ってくるけん」
「おおきに!」
「ええなぁ、みんな酒飲めて。ねえあたしにも一口ちょうだい!」
「アカンて、未成年が飲んだらアカンやん」
「そうそう、蔵リンの言う通りよなまえちゃん」
「ケチー」
「子供はジュースで十分や」
「そういうユウくんも酒よりオレンジジュースのが似合うで」
「うっさいわアホ!」


今日何回ユウくんにアホアホ言われたんやろ。数えて言われた分ど突いたればよかったわ!そう思っとったとき、むすこの泣き声が聞こえて、あたしは寝室に向かった。


「どうしたー?ちょっとうるさかった?堪忍なむすこくん。はい、ねんねー」


ベビーベッドの上で胸の所をとんとんしてあげると、泣き声は止み、すーすーと寝息が聞こえてきた。ほんま夜泣きをあんましない子でママ助かるわ。


そして、完全に寝たのを確認してからリビングへ戻る。


「むすこ寝た?」
「うん、とんとんしよったらすぐ寝た」
「夜泣きあんませんでパパママ想いやなほんま」
「あんま夜泣きせん子もおるんですね。うちの甥っ子めっちゃ夜泣きする奴でしたわ」
「中学の頃はまだ赤ん坊やったけんねー、今いくつになったと?」
「小学校高学年。めっちゃ生意気っすわ」
「きゃー!もうそない大きなったん!?そりゃあたしらも歳取るわ…」
「若いわー」
「お前が言うなアホ、18も十分若いわ」
「まだピチピチやでっ」
「死なすど」


ま、冗談はさておき、光くんって甥っ子おったんや。知らんかった!


「つかもうそろそろ帰った方がええんとちゃいます?もう日付け変わっとりますよ」
「そうね、謙也くんも潰れとるし」
「あー…、スピード…」
「なんの夢見てんねん、ほら謙也起きろ!」
「んあ?白石やーん」
「みんな帰るで!」
「うーん…」
「ったく…、千歳、先に謙也車まで運ぶん手伝ってくれへん?」
「任せなっせ」


蔵ノ介と千歳さんで謙也さんを抱えて、先に車に運んでった。そして二人が戻ってきたあと、みんなで部屋の片付けを軽くしてから、お見送りをしに玄関先に向かった。


「ほんま今日はありがとうな!俺もなまえもいい息抜きになったわ」
「めっちゃたのしかったー、ありがとうございます!」
「いいのよ、あたしらも息抜きになったしたのしかったから!」
「つぎはクリスマスパーティーやるばい!」
「ほならまた衣装は俺と小春に任しとき!」
「俺のは作らんでええですわ」
「アホぅ、クリスマスも財前は強制参加や!」
「だるいっすわぁ…」


つぎはクリスマスか、今からわくわくやな!


「ほな、またねなまえちゃんと蔵リン!むすこくんにもありがとう言っといてな!」
「うん!謙也さんにもお礼言っといてな!」
「つか俺ら仮装したまんま帰るんすか?」
「おう、衣装は俺らからのプレゼントやから家帰ったら着替えてな」
「まじすか」
「車やけん問題なかとよ」
「千歳はんの言う通りや!ほな今度こそさいならー!」
「おう!気をつけてな、ほんまおおきに!」
「ばいばーい!」


バタンっと玄関が閉まり、さっきまでの賑やかさがまるで嘘かのように、今は静かや。もうみんなが恋しくなっとる、あたし。


「なまえ、お疲れさん」
「ん、蔵ノ介も」


そう言って、どちらともなくキスをした。みんなと過ごすんもええけど、やっぱ蔵ノ介と二人きりの時間もだいすきや。夫婦水入らずっちゅーやつやな。


「どうする?先に蔵ノ介お風呂入る?着替えたいやろ」
「んー、まだこのままで居ようや。この格好のなまえめっちゃかわええし興奮するわ」
「え、まさか…」


手首を持ち上げられ、蔵ノ介が持ってた手錠で拘束された。あたしお風呂入ったらすぐ寝よ思っとったんに、蔵ノ介はギラギラモードや。まさかの今日久しぶりに解放しちゃう?


「こないにハレンチな婦人警官は逮捕せな」
「もう…、お巡りさんの好きにして」
「えっ、ええの!?」
「ここまでやりよったら雰囲気台無しにしたないやろ!」


いい機会やし、夜の営みも今日からまた始めますか。ずーっと我慢させとったからな。


「久々やから優しくしてな、お巡りさん」
「んー、出来る限り優しくします」


そのまま、あたしは蔵ノ介に押し倒され、二人でソファーへと沈んだ。久々やからか蔵ノ介はやたら興奮しとって、しばらく警官プレイを満喫してしもうたわ。


めっちゃ恥ずかしかったけど、蔵ノ介が好きやと改めて感じたし、たまにはこういうのもええな、と思った。


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