途中まで送ってきてくれた柳に礼を言ってから家に帰ろうと足を進めたとき、玄関の前にお父さんがいた。いや、これはかなり語弊がある。察しの通り真田である。何やってんだアイツ。このままじゃセールスマンだ。セールスしにきたけど緊張しすぎて玄関前で止まってる、みたいな。本当は知らないふりをしたいけれど、自宅玄関でそうやられてはどうしようもない。


「…………何やってんの、真田」
「むっ、#苗字#か。いや、これはだな、その、なんだ、あれだ、そう、これは、だな」


どもりすぎだろ。


「セールスはお断りですが」
「セールスなどせんわたわけが」
「分かってるけどさ。いや、そこに立たれてると家に入れないんすよ」
「ああ、す、すまない」
「………………夕食食べてく?」
「何故そうなる!」


こう見えても案外私の家族とテニス部面々は仲が良い。真田も例外ではなく、ね。


「じゃあ御用件をどうぞ」
「それは、だな…………」


珍しく歯切れの悪い真田。お米不足ですか?お米補給出来ますよ、我が家で。いかがでしょう。冗談が過ぎました。


「……………お」
「……お?」
「おめー……」
「お目?」
「………っおめ、でとう」
「………? ふむ」


柳とかからも言われたけど。何が?


「っじゃあな!」


そう言って走り去った真田は関西のスピードスターどころか、何かもう、マッハ5くらいあるんじゃないかってくらいの速さだった。疾きこと風の如しですか。今の早さならマッハなんて目じゃないくらい速かったけど。そうして、怒濤の謎プレゼントラッシュは終わったのであった。




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