「部活中に何を食べているんだい」
「飴だよ」
「ブン太じゃあるまいし」


結局ブン太と戻ってきて今は普通通り部活中。仁王が怒られたかは分からないけれど。


「そのブン太から頂いたんですが」
「部活中に食べ物を食べるというのはあまり感心はしないな」
「ブン太に言えそして今更だな」
「あとそのペンダント。オフならいいけど何でジャージの上につけてるの?違和感ありすぎなんだけど」
「仁王に言え」
「……つまり全て自分のせいではないと言いたいんだね」
「自分のせいっつかアイツ等が勝手にやってるのに流されただけだし」
「それじゃあ共犯者も同然だよ」
「えへ」
「可愛くないからそれ」


ブン太にも同じような事言われたし、あのときと同じような爽やかな笑顔で言ってくるけれど目が笑ってない。目が笑ってないのに爽やかな笑顔って言うのもおかしいのか。普通の女子生徒なら爽やかと受け取るだろうけど。ずっとこの魔王を見てきた私には分かる。笑ってねえ。


「全くお前はいつも流されてばかりでさ」
「すんませーん」
「……やっぱりお前には礼儀から教えなきゃ駄目かな」
「すみません私が悪かったですだからそれだけはやめてください」


お前が礼儀を教えたらそれは調教という別の種類のものになるからな。私の中の精市像も大概なものである。


「……しょうがないな」
「なぜそんなに嫌そうな顔をする」
「せっかくお前を俺に従順な犬にしてやろうと思ったのに」
「その発言は聞き捨てならねぇなぁ、ならねぇよ」
「うるさい」
「精いっぱいの物真似を切り捨てられた!」
「はあ」
「飽きれたように溜息吐くな」
「だって呆れるしかないだろう。似てもいない物真似を見せられて呆れる以外何をして欲しいの?」
「ごめんなさい」

謝るしかなかった。私的には34%くらい似ていたと思っていたのに。この数値は適当だけど。


「しょうがないな」
「……へ?」
「なに?」
「いや……、随分あっさりと引き下がるなぁ、と」
「まさか俺が何の代償もなく引き下がると思ってるの?」
「……お、おい一体何す、ん………っ」


気付いたら唇に柔らかい感触。は、え、ちょ、ちょっと待て。


「おめでとう」


このおめでとうはなんだ。お前のファーストキスを俺が奪っちゃったよということに対するおめでとうか。ボール叩きつけられてえのか。

kiss

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