「………」


何なんだこの空気。部員みんなしてそわそわして。別に今日バレンタインデーじゃないんだけど。精市に呪われたか。まあそれは冗談だが、様子がおかしいのは明らか。え、なに、予兆?虫の知らせ的な。虫が午前12時をお伝えします、みたいな。時報かよ。しかもまだ昼間じゃないか。


「透子」
「あー仁王、いいところに。あのさ」
「ちょっと来てくれんかの」
「話聞け」

反論したのはいいけれど、手首を掴まれて拉致監禁。じゃなくて、連れ去られてしまった。あーれー。


「おーい、仁王くーん手首痛いんですがー」
「あぁ、すまん」
「……で、練習ほったらかすほど大事な用は何かな」
「これ」
「箱じゃん」
「箱が大事な訳じゃないじゃろ。開けてみんしゃい」
「んー」


仁王に言われた通り綺麗なラッピングを無理やり破いて、その見るも無残なラッピングを床に捨ててから箱を開けた。


「もう少しましに破けんのか」
「ごめんなさいがさつで」


あ、引いてる。ごめん仁王。わたしだって出来るものならラッピングを引き裂かずに開きたかったよ。でも人には向き不向きがあるの。そう、これは立派な言い訳。破いたやつはあとでわたしが責任をもってお掃除しますのでご安心を。


「ペンダント?」
「そうじゃ」
「あ、うん、ありがとう」
「……どういたしまして」
「っていうかなんで?」
「お前さん、それ本心から言って……?」
「いや、いたって真面目だよ」
「……いつものお礼じゃ」
「今頃何故に」
「深く考えなくてもいいから貰っておきんしゃい」
「そりゃ貰っとくよ」


高そうだしね。現金だな私。中学生から中学生へのプレゼントにペンダントって本当はこいつ年齢詐欺ってんじゃないの。えっ中学で留年?どうやったらそんなこと起こるの。あとで聞かせてください。ネックレスとペンダントの違いもわかってないような人間にありがとうございますほんとね。


「それ、つけてやるから後ろむきんしゃい」
「えー、いい。わざわざ学校で、」
「ん」


コイツ話を聞かずに後ろに回り込みやがった。
まあこうなると止めるのも面倒だしされるがままだ。


「……よし」
「おお……」


ジャージの上にペンダントって斬新だね!
いや、いい意味で。


「で、用と言うのはこれだけですかね?」
「ああ」
「そんじゃあ、まあ、戻りますか。戻んないと精市に呪われる」
「そうじゃな」


呪われることを否定しないあたり、部員の中での精市の存在がどのようなものかわかりますね。そりゃそうか。結局、謎のプレゼントを貰って部活に戻った。




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