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05:時間切れ




(…見失った?)


枝から枝へと飛び移り、辺りを見渡すセッカ。
かなり森の奥深くまで来たが、目的の人物が見つからない。
気配が掴めないということは近くにはいないということか。

もう一度そこら辺にいないか捜し、後少し奥へと足を運ばせようかと考えていると…


「あぎゃああああああああ!!」
「!」


森中に木霊するような大きな悲鳴に思わず肩を竦め、足を止めてしまった。
森に住む鳥達もその叫びにバサバサと上空へと飛び立つ。
今のはサクラの声だ。尋常じゃない叫び声ではあったが。
カカシと対立しているのかと様子見の為に悲鳴が聞こえたほうへと足を向け、速度を上げた。




(!あれは)
「忍戦術の心得其の二、【幻術】…サクラの奴簡単に引っ掛かっちゃってな」
(はたけ上忍…それと)


だが途中探し人であるカカシを見つけ、足を止めた。
片手に尚もイチャパラを携えて木に凭れている。その前には、サスケ。


(さっきのはそれで…随分悪趣味な幻術見せたみたいね)


カカシがサスケへと告げた内容にサクラの悲鳴の意味を理解した。
そして完全に気配を消して身を潜め、二人の様子を静かに観察する。


「俺はあいつらとは違うぜ」
「そういうのは鈴を取ってからにしろ、サスケ君」


サスケはカカシと真っ向から対峙する。
その瞳には闘争心が見え隠れしていた。
カカシがそんな相手の様子に目を細める。


「里一番のエリート、【うちは一族】の力…楽しみだな」


ぴく、とサスケは反応する。
セッカは木々が作ってくれた陰からその様子を見下ろした。


確かに、この対決は見物だ。
木の葉ばかりか他里でも広く名を知られていた名家、【うちは一族】。
血筋としては申し分なく、その力は強力で生粋の忍家系。
その戦いぶりが見られるとなれば一大の催し物である。

セッカの存在に気づかず、互いに向き合ったまま暫し動こうとしない二人。
だが先に動いたのは、サスケだ。


バシュッ


忍具を相手へ投げつける。
それを素早く横に避けるカカシ。


「莫迦正直に攻撃してもダメだよ」
「…」


だがカカシのそんな言葉に、サスケはにやりと笑った。


「!」
(…考えたね)


カカシは驚き、セッカは目を細める。

先程放った忍具の一つが草陰に仕組んであった罠を作動したのだ。即座にそちらの方向からも忍具が飛び出す。
カカシは若干驚いたものの、その罠も難なく回避した。
しかしその背後にはサスケ。捻りを利かせての蹴りを相手の顔面目がけて喰らわせようとした。


バシッ


今度は避ける暇もなく、両手で受け止める。
するとサスケは受け止められた足とは反対の足でもう一発蹴りをくり出す。


バシッ


それもどうにか止めたカカシ。
だが今鈴のある辺りは両手を塞がれガラ空き状態。


(…相手の手を塞いで鈴を取る、か)


計画的な戦法。
その考え通り、鈴へと手を伸ばすサスケ。


バッ
チャリ…



指先が触れる。
だけどそれも一瞬のこと。
結果は掠っただけで、取れなかった。

ざざっと地面を擦って相手との距離をあける両者。
やはり経験の違いからか、サスケは多少息を荒げていた。
カカシはそんな相手を見て肩を竦める。


「ま!ナルトやサクラとは違うってのは認めてやるよ…セッカはまだ相手してないから分かんないけどネ」
「フン」


サスケはその言葉に対して鼻であしらい、印を組む。
その組式を見てセッカは少し目を見張った。
今から繰り出されるであろう術は中々高度なものだ。


「【火遁、豪火球の術】!!」


巨大な火の球を放ったサスケ。
その火球は周りの木々を焦しながらカカシへと向かう。しかし相手は土の中へと潜り込み、その攻撃をギリギリのところで避けた。
サスケはそのことに気づいていない。
土の中へと身を潜ませたカカシがサスケの足を掴む。


「!?」
「【土遁、心中斬首の術】」


そしてそのままサスケを土中に引き摺り込んだ。
予想していなかった切り返しにサスケは為す術がなかった。頭だけ地表に残し、その下は全て土に埋まる。
カカシが入れ替わるように外へと這い出た。


「忍戦術の心得其の三、【忍術】だ。にしてもお前はやっぱ早くも頭角を現してきたか」
「…くっ」
「でもま!出る杭は打たれるって言うしな…あとはセッカか」


一番の問題はこっちだな。

カカシはそう思い、瞬時にサスケには緩めていた神経を尖らせる。
そして悔しがるサスケを置いて森の中へと姿を消していった。