#25 hungry over
フレンチキス。

瞼を上げると、長いまつげが影を落とし、憂いを帯びた瞳。あたしの好きな、朱を帯びた唇が目の前に。

……足りない。

露骨に出てたらしい。蒔田さんはくつくつと笑う。

「酷い。人の顔見て笑うなんて」

起き上がりかけた上半身、いつの間に滑り入る手。

「ちげえ」

ぱちん、と胸の圧迫が外される。「あ、」

「俺は単に」

大きな手で直に包まれる。でも目を逸らして、

「自分がさかりのついた犬みてえで……恥ずかしくなっただけだ」

違うのは一臣のほうだよ。どきどきして、息が上がって、からだの芯が疼いて、

「恥ずかしい顔、見せて」

耳赤くして、可愛い。あたしの頬は緩む。

「! あぁ」仕返しとばかりにきゅう、と掴まれてしまい。

「ひ、きょうものぉ」
「正直なのが悪い」

こんなからだに誰がした?

触れられるだけで、上ずって。

触りやすいように腕を大きく上げてしまう。

あけられた前を、挟みこんで素早く舐めに入る、彼。

「う、」

両の親指がくにくにと捏ねる。尖らされて、爪で引っかかれて。

こんなあたしと、彼の顔を挟むように、フロントホックのブラがゆさゆさと、揺れる。

それが、頬に、当たった。

かちん。

見開いた眼。邪魔だと言わんばかりに、歯で挟み、強く引き抜いて、剥き出しのあたしの右肩。

かぷり。

「きゃ、」

背を支えられ、右半身だけ浮いた奇妙な体勢の中。

大きく開いた口が頂きを含む。咥えて、左右に揺らす。ふるふると、顔を振る動き。

声が、感覚が、定まらない。

顎下に刺さる彼の髪の先。貪る。一心不乱な、まるで、――

飢えた犬みたい。

あたしは口にしていた。それを拾い、彼は、今度は左のホックも咥えながらに言ってのけた。


「俺はお前に常に飢えている。悪いか?」




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