#13 報復の情愛(1)
繋がっているのに、もっともっとくっついてたい。
心臓の音を直接、心臓で聴きたい。
上半身をぴっちり密着させ、しがみつくあたしはコアラみたいで。
あなたの首に浮く血管を鼻筋で感じる。したたる、汗。あたしの前髪を濡らしてく。
肌の心地良さに魅せられてくと、走りだす旋律。
取り残されないように、揺り落とされないようにしていると一面、広がる白銀の世界。
緑色のビー玉が葡萄のように連なって、万華鏡のようにきらきらと回り、落としてく影。滲む、黒と黄色の光輝。
瞼の裏に思い馳せていると、突然、脳を絞られるような一閃。
この瞬間、いつも爆発する、圧倒される。
呼吸を忘れ、触れる手のひらでさえも嘘っぽく感じて、一つのかたまりであることがすごくすごく、欲しくなる。
ちらちらと落ちる、星の欠片。淡い電流、遅れてくる鳥肌。
脳の裏に定まらない意識、されど、彼の動きは停止。きっと白眼は剥いてない。
終わったと思ったのに。
どくん、と更に脈打つ彼に、訳も分からぬ叫びがあがる。
背中を滑らす動き、頭の後ろを支える手でさえも刺激となり。拍動の余韻、あたしを芯から痺れさす。
くるまれたままでときを過ごす。少し、収まってくる。瞼を上げると、
やっぱりあたしを見ていた。
沼底のように真っ暗な瞳が。
咄嗟に、逸らす。
「何故、逃げる」
「……だって」
あんなにもあられもない姿、恥ずかしい。絶対だらしない顔してる。あたしはいつまで経っても慣れない。彼が達する表情はこれ以上ないほどに神々しいのに。
顎先を摘ままれて、向かされる。
目は、合わせられない。
「好きだ」
顔を上げた。
「そんなお前も、好きだ」
ゆっくりと、押し倒される。背中に添える手、彼はあたしの目を覗いて。
体重を少し乗せ、まとわりついた髪を横に流していく。
せっかちな彼が、このときは丁寧に、優しく。
頬を包む彼、あたしは目を閉じた。