#9 気持ちいい――だろ? 02
吸盤のように吸いつく。どこをどうすれば人がいけるのか、分かり尽くした指で撫で上げて、親指の付け根で擦り付ける。こぼす嬌声。涙交じりの視界、首を振る。
「なあ。言ってみろよ、ほら」
卑猥な言葉を強制される。
誰のどんな何をあたしのどこがどうしているのか。
軽い屈辱にはじゅるり、指の腹で褒美を与える、同時責め。
もう本当に無理だと思うのに。あたしの知る彼の指が。さっき舐めつくした皮膚がこねくりまわして、かきまぜて、もてあそんで、――
ぐ、と膝頭を押しつけられて、お互いのが丸見えの、とんでもない体勢。
深部まで突かれる度に、悲鳴めいたわめきが飛ぶ。
畳みかけられて、正直に涙をこぼす。
痺れていく。抜き差しされる度に高まっていく。動きすら出来ない、感覚の潮流になされるがままのあたしが、そこにはいて。
「くわえとけ」
涙ながらに含む。よりどころがなくて。あたたかくて落ち着かせる、細くて長い指。皮膚。彼の匂い。汗。
多分、お漏らしでもしたかの量に至っている。
どろどろのぐちゃぐちゃのみちゃみちゃで豆腐みたく崩れている。
「ん」
ぷちん、となにかちぎれる音がした。うたかたの自制心が制御しそうになる、それを。
「いきそ?」
律動止めず、あろうことか笑っている。
大好き。
大嫌い。
なにも見えない、伝わらない、伝わらなくなる、叫びさえも遠くなる。
噴きだす間際に引き抜く彼があたしはその瞬間、大嫌いなのだ。
もう一度擦ってずちゅり、挿入する彼も。
きっちり絶叫させられた上で、開く自分も。
親指を差し出され、母を貪る赤子のようにくわえる。従順に、必死に。
「上と下でしゃぶってんの、どんな感じ?」
浅く笑われても、返す余地などないほどにあたしの意識はどろどろに溶解。自制心だとか防衛反応が粉砕されて、獣よりも正直に獰猛に欲求する動物となる。
「あ」一瞬、顔をしかめる。あたしの頬を挟みこむ彼が。
目で問いかけると、目だけで頷いた。到達を目指す、獰猛なスピード。振り子みたく振られ、しがみついて、強く強く。
飛ぶ。
ほとばしる。同時に。絞り出されるごとに肉壁が躍動する。
彼が、落ちてくる。散々に撫でられた胸を固い胸板に潰される、合わさる汗と汗。もろとも伝わる動悸。
恍惚とした意識の中で、血の味がじわじわと口内に広がりだす。
……入れないで欲しいのに。
もう一度口に含むと、まだ熱い彼の腕にくるまれて、全身、みのむしのように呼吸をした。
*